第百二十三話 甘いものその四
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「作家さんで不倫して旦那さんどころか娘さんまで捨てて駆け落ちした人」
「ああ、あの人ね」
愛は咲の話を聞いてすぐにわかった。
「有名よね」
「お坊さんでね」
「出家してなったのよね」
「あの人のお話聞いても」
「嫌だったのね」
「あの人出家するまで色々あったそうだけれど」
「不倫ばかりしてね」
駆け落ちした時に限らずだ。
「そうだったみたいね」
「それ見て何この人って思ったから」
だからだというのだ。
「男の人でも女の人でも」
「不倫する人は」
「浮気ね、嫌に思ったから」
「本能的に?」
「生理的かしら」
愛に少し考えてから答えた。
「そう思ったのは」
「そっちの感覚ね」
「ええ、それでね」
「咲ちゃんも不倫とか浮気とか嫌いね」
「お父さんもお母さんも嫌いでよく何てことするんだって言ってるし」
両親もというのだ。
「テレビやネットでそんなお話聞いたら」
「うちもよ。うちのお父さんとお母さんもね」
「叔父さんも叔母さんも真面目だしね」
「そっちのこともね」
「だからなのね」
「もうね」
「お姉ちゃんもそう言われてきて」
「自然とね」
それこそというのだ。
「浮気なんてね」
「しないのよね」
「そうよ」
咲に強い声で言った。
「誰かと付き合っていたらね」
「その人だけね」
「それが一番いいのよ、これからもお互い浮気しないで」
「誰かとお付き合いしても」
「それでもね」
「その人だけね」
「そうしていきましょう」
こう言うのだった。
「お互いにね」
「ええ」
咲もまさにという声で応えた。
「それじゃあね」
「ただね、いいかしら」
「いいって?」
「転んでも泣かないのが恋愛だから」
「何があっても」
「実際は泣いても」
そうなってもというのだ。
「そこで終わらないことよ」
「前に進まないと駄目ね」
「そうよ、前に進んで」
そしてというのだ。
「落ち着いてまたいい人に出会えたら」
「その人となのね」
「あらためてね」
そうしてというのだ。
「幸せな恋愛をね」
「していけばいいわね」
「そうよ」
そうだというのだ。
「またね」
「そうすることね」
「その時落ち込んでも」
それでもというのだ。
「また立ち上がることよ」
「転んでも」
「実際は泣いても」
そうなってもというのだ。
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