第十二幕その五
[8]前話 [2]次話
「いい落語をね」
「英語でもですね」
「していこう」
「ほなそういうことで」
「はい、ただ」
「ただ?」
「春琴さんは完全に大阪人になってるね」
笑顔で、でした。先生はお好み焼きを食べ乍らモダン焼きを食べている春琴さんに笑顔になってお話しました。
「言葉も考え方も」
「そうですか」
「大阪に馴染んでね」
「いや、学生時代は神戸の学校に通ってましたけど」
春琴さんはお箸とへらを使って食べつつ応えました、その手捌きも実に大阪人のもので軽やかですらあります。
「大阪はです」
「好きなんだ」
「最初お父ちゃんお母ちゃんと一緒に行って」
そしてというのです。
「もうその瞬間にです」
「好きになったんだね」
「難波も梅田も好きで」
大阪のというのです。
「都島、天王寺、上本町もです」
「好きなんだね」
「はい、西成も住吉も生野も」
そうした場所もというのです。
「好きです、大阪の全部がです」
「好きなんだね」
「そうです、そうなりました」
笑顔で言うのでした。
「ほんまに」
「そうなんだね」
「それで、です」
春琴さんはさらに言いました。
「今は大阪に学生時代からの友達と暮らしながら」
「やっていってるんだね」
「はい、その娘と結婚とか」
笑顔で言うのでした。
「してもええかなともです」
「同性婚だね」
「私そっちの趣味はないですが」
それでもというのです。
「馬が合いますさかい」
「それでだね」
「これからもです」
是非にというのです。
「一緒にです」
「暮らしていきたいんだね」
「そう思ってます、そやけどお互いに好きな人が出来たら」
その時のこともです、春琴さんは言いました。
「やっぱり」
「同居も終わるっていうんだね」
「お互いそんなこともお話してます」
そうだというのです。
「二人共結婚も考えてますし」
「それでだね」
「その時が来ても笑顔で」
春琴さんは笑顔で言いました。
「同居終わらせて」
「そしてだね」
「友達のままでいようって」
「お話しているんだね」
「そうです、それからも時々でも会って」
そしてというのです。
「ミックスジュースでも飲もうって」
「大阪名物のだね」
「お互い大阪を離れるつもりはないです」
それはというのです。
「全く」
「いい街だからだね」
「私はロンドンに里帰りしても」
その時があってもというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ