第四十一話 好意その十八
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庚は一旦言葉を止めた、そのうえで話した。
「私としては」
「彼には死んで欲しくないね」
「ええ、決してね」
「仲間として」
「止めたけれど」
「聞かないね」
「そうすると決めたから」
だからだというのだ。
「もうね」
「終わらせる為に」
「そうするわ」
「そうだね」
「彼は自分の好きな人を今度はね」
「殺さないよ」
「二度とね。あの時の痛みが」
それがというのだ。
「今も彼の心にあるから」
「絶対にだね」
「殺さないわ、そして」
「彼自身が」
「そうしようとしているわ、けれど」
「僕達としては」
「彼は仲間よ」
牙暁に確かな声と顔で話した。
「だからよ」
「それでだね」
「この戦いが終わっても」
「一緒にいたいよ」
「だからこそ」
「死んで欲しくないね」
「彼の好きな人を彼が殺してでも」
この本音をだ、庚は今出した。
「彼はね」
「死んで欲しくないね」
「決してね」
こう言うのだった。
「そう思っているわ」
「全くだね」
牙暁も完全に同意だった。
「僕は彼の好きな人にもね」
「死んで欲しくないわね」
「二人共。そして」
そのうえでというのだ。
「今回の闘いが終われば」
「いいわね」
「そう思っているけれど」
「そうはね」
「ならないだろうね」
「ええ、けれどもう一人の姉さんの思う様には」
そうなることはというのだ。
「決してね」
「ならない様にしないとね」
「私も待機しておくわ」
「皆が立ち会う中で」
「ええ、都庁でね」
自分がいる場所からというのだ。
「闘いを見守って」
「もう一人のあの人が動くなら」
「万が一姉さんが止められないで」
「その時はだね」
「私が動くわ、そして」
「もう一人のあの人の望む様にはだね」
「ならない様にするわ」
こう言うのだった。
「絶対に」
「では僕もね」
牙暁もそれならと応えた。
「夢の中から」
「動いてくれるわね」
「あの人を見てね」
「若し姉さんが抑えきれないなら」
「助太刀するよ」
「そうしてくれるわね」
「あの人の思う通りにさせると」
そうなればというのだ。
「本当に世界が崩壊して」
「人間も何もかもが滅ぶから」
庚はそれでと言った。
「止めないといけないわ」
「むしろ僕達の目的だね」
「もう一人の姉さんをどうするか」
「そうだね、それじゃあ」
「それぞれの場所でね」
「待機していよう」
「この闘いがもう一人の姉さんの思い通りにならない為に」
二人で夢の中で話してだった。
そうしてそれぞれの場所で待機するのだった、二人の最後の出会いと闘いを前にしてそれぞれの者達もまた動き身構えていた。
第四十一話 完
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