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第四十一話 好意その十七

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「しかしです」
「それでもか」
「賢明でもあり過ちを正し決断もします」
「そしてあの者達はか」
「きっとです」
「正しき結末に至るか」
「貴女は彼が地の龍になることを望んでいますが」
 それでもというのだ。
「きっとです」
「そうはならぬか」
「そうです。例え彼はそれで傷付こうとも」
「一時のことか」
「そうです」
 こう言うのだった。
「また立ち直ります」
「そうはさせぬぞ」
「ならここで」
「わらわを止めるのか」
「力を及ばせません」
 強い決意に満ちた言葉だった。
「何があろうとも」
「くっ、この力」
「貴女はわらわです」
「そうであるならか」
「力も互角。互角同士なら」
「止められるか」
「五分と五分で」
 この状態でというのだ。
「必ずです」
「そうはさせぬ」
「それはわらわの言葉です」 
 二つの影が交差した、そして人知れぬ闘いがはじまった。
 それは誰も見ていなかった、だがそれでもだった。
 牙暁は庚にだ、夢の中で話した。
「今ね」
「姉さんは闘っているわね」
「そうしているよ」
「絶対に今そうなると思っていたわ」
 庚は夢の中で腕を組み苦い顔で述べた。
「だって姉さんは」
「二つの心があるからだね」
「こうした時こそ。あの時は封真が自力で退けたけれど」
「今度はどうなるかわからないね」
「若しもう一人の姉さんが二人の闘いに介入すれば」 
 その時はというのだ。
「彼は地の龍になるわ」
「彼の後を継いで」
「地の龍は一人いなくなるけれど」
「天の龍もそうなって」
「地の龍のいなくなった分は補充されるわ」
「それで戦える人間は六人と六人になるね」
「今は七人と六人だけれど」
 牙暁を見て言った。
「貴方は地の龍でも戦えないから」
「今地の龍で戦えるのは六人だね」
「それで一人いなくなっても」
「天の龍から一人行けば」
「数は同じ。それだけでね」
「状況は大きく変わるよ」
「互角になればもう一人の姉さんが付け込む要素が増えるわ」
 庚は険しい顔で述べた。
「互角の状況こそがね」
「何かとあるから」
「だからよ」
 その為にというのだ。
「そうなることをね」
「もう一人のあの人は望んでいて」
「仕掛けようともしているけれど」
「それはだね」
「きっとね」
「あの人自身が止めるね」
「ええ、けれどね」
 難しい、そして遠いものを見る顔になってだった。
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