【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第10節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(後編)
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しかすると、本当にジェルディスを頂いて以来のことでしょうか?」
「それなら……もう6年と3か月ぶりかしら?」
「はい。自分も執務官になって、もうすぐ満6年になりますから」
「じゃあ、もうそろそろ『新人』は卒業して『ベテラン』の仲間入りね。(ニッコリ)」
「いや。『ベテラン』はさすがに言い過ぎでしょう。実際には、まだようやく『中堅』になれたかどうか、といったところですよ」
ニドルスがそう言って苦笑すると、ミゼット・ヴェローネも穏やかに笑ってうなずき、もう一口ゆっくりとお茶を飲んでから、ようやく本題を切り出します。
「実は……先日、実家の兄とも相談して来たんだけどね。やっぱり、ディオーナの身魂は今月末の命日に、10回忌でもう『祀り上げ』にすることにしたわ」
(ええ……。どうして……。)
普通に天寿を全うした者であれば、祀り上げは「30回忌」で行なうのが原則ですが、30歳未満で早死にした者の場合は「享年」で祀り上げにするのが「通常の」作法でした。
だから、ニドルスも単純に、ディオーナの祀り上げは「12回忌」で行なわれるものだとばかり、まだ2年は先のことだとばかり思い込んでいたのです。
しかし、30歳未満で早死にした者に限って言えば、『享年から5年単位で端数を切り捨てる形で祀り上げを前倒しにする』というのも、実は古来、正式に認められている作法でした。
ただ、ニドルスは個人的に、その方面の知識には疎かったのです。
ニドルスの表情からそれを察すると、ミゼット・ヴェローネは早速、「端数切り捨て」の作法を説明した上で、さらに、次のような「聖王教会の正統教義」についても語りました。
要するに、『生者がいつまでも死者のことを想い続けていると、それがかえって、死者の心に「現世への執着心」を湧き立たせる結果になってしまうので、「祀り上げ」が済んだ死者のことは、みんなで早く忘れてあげた方が、むしろ死者の心の安寧につながるのだ』という教えです。
随分と薄情な言い方のようにも聞こえますが、「死後の魂」や「輪廻転生」が本当に在るものと仮定した上で、「遺族の気持ち」よりも「死んだ本人の将来」を優先させつつ物事を論理的に突き詰めて行けば、確かにそういう結論に辿り着いてしまうのでしょう。
ニドルスには、その結論の「真偽」などはこれっぽっちも解りませんでしたが、ただ間違いなく解ったのは、『ミゼット・ヴェローネ自身は、本気でそれを信じた上で、そう語っている』という事実でした。
【聖王教会の教義について、詳しくは「背景設定10」を御参照ください。】
「だから、私はもう、あの子のことでは悔やまないことにしたの。もちろん、人間なんだから、機械のよ
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