【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第9節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(中編)
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新暦22年の11月上旬。
その朝、ニドルスは空士訓練校で初めて学長室に呼び出されました。
(特に、呼び出されるほどの悪さをした覚えは無いんだけどなあ……。)
内心ではそんなことを考えながら、ニドルスは慎重に作法どおり入室したのですが、そこで学長から聞かされたのは、全く予想外の話でした。
「ニドルス・ラッカード君。どうか落ち着いて聞いてほしいのだが……実は、昨夜、君の御両親が自宅で殺害された」
「……ええっ? 一体誰が、そんなことを!」
ニドルスは思わず驚愕の声を上げました。
家庭的には確かに問題のある人たちでしたが、社会的には二人ともそれなりに立派な人物です。それに、何と言っても外面が良く、誰かから恨みを買っていたなどという話は一度も聞いたことがありません。
しかし、学長はニドルスの疑問には答えずに、こう言葉を続けました。
「犯人はすぐに自首したので、今は留置場にいるのだが、君との面会を要求していてね。君も気が重いだろうが、今から犯人と会って、話をして来てくれないだろうか?」
「え? 僕を名指しですか? ……いや。そういう話し合いなら、兄の方が向いていると思うんですが……。まさか、兄は今、病院にでも担ぎ込まれて、話もできないような状態なんですか?」
しかし、学長はひとつ深々と息を吐いてから、ニドルスに真実を告げました。
「いや。その犯人というのがね。実は、君のお兄さん本人なのだよ」
「……はあァ?」
「どうやら、彼は自分の裁判が始まる前に、『法定絶縁制度』で君との縁を切っておきたいらしいのだ。当校としても、こんなことで君の経歴に傷をつけたくはない。是非とも、彼の申し出をそのまま受ける方向で、話をつけて来てほしいのだが……どうかね?」
「……解りました。とにかく、一度、会って話をして来ます」
「そう言ってくれると助かるよ。現地までは車で送らせよう」
こうして、ニドルス(12歳)は留置場で「小さな穴がたくさん開いた透明な壁」をはさんで、兄ヴェナドゥス(16歳)と対面しました。
「プライベートな話をするので、一旦、席を外していただけますか?」
ヴェナドゥスがとても紳士的な態度と口調でそう言うと、彼の担当法務官と思しき中年の女性はそのまま退室しました。
これで、本当に「密室に」二人きりです。
係員が外から扉に施錠した音を確認してから、ヴェナドゥスは床に固定された「背もたれの無い椅子」に、どすりと腰を下ろし、無造作に脚を組みました。
「猫をかぶり続けるのも疲れるぜ。……ああ。お前も座ったらどうだ?」
態度も表情も口調も、先程とは全く別人のようです。兄の豹変ぶりに驚きながらも、ニドルスは同様の椅子にそっと腰を下ろしました。
「安心していいぞ
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