暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第9節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(中編)
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分たちの言うとおりにそのレールの上を走ってさえいれば、それで良いんだ』と、そう抜かしやがったんだぞ。
 要するに、アイツらが欲しかったのは『独立した人格を(そな)えた息子』では無く、ただ『自分たちの願望を乗せて目的地まで走ってくれる機関車』だったのさ。そんな人間(ひと)人間(ひと)とも思わねえような考え方が、許されると思うか? アイツらは殺されて当然のクズどもだった。だから、俺はあの頃からずっと、いつか勝てるようになったら殺してやろうと思い続けていたんだよ」

 それは、きっと「賢さゆえの悲劇」だったのでしょう。普通の五歳児なら、そんな難しいことを言われても、相手の真意を理解して殺意まで覚えたりはしません。ましてや、その殺意を十年以上もの間、心の奥で深く静かに(くすぶ)らせ続けたりはしません。
 ヴェナドゥスは続けて語りました。
「俺には最初から二つの選択肢しか無かった。『手の綺麗な奴隷』になるか、『手の汚れた自由人』になるか、だ。その二つなら、どちらを選ぶべきなのかは考えるまでも()え」
「それで? 今、アンタは自由なのかよ? 殺人犯の行き先は監獄だぞ」
 それを聞くと、ヴェナドゥスはまた大笑いを始めます。
「あのなあ。人間社会には、ルールってモンがあるんだよ。だから、そのルールを熟知して、それを上手(うま)く利用した方が勝つんだ。ただのゲームと同じさ」
「人生は、ゲームじゃないだろう!」
 ニドルスのそんな怒りの声をも、ヴェナドゥスは鼻でせせら笑いました。
「同じだよ。せいぜい、金を賭けるか、命を賭けるか。その程度の違いさ」

 ニドルスが絶句していると、ヴェナドゥスはまたさらに言葉を続けました。
「ルールをひとつ教えてやろう。俺は今年まだ16歳で、法律上は未成年だ。ミッドの法律なら、身内を二人殺したぐらいでは終身刑にはならねえ。俺はせいぜい四年か五年でまたムショから出て来ることができるんだよ。
 同じ『不自由な生活』なら、親がくたばるまで長々と続けるよりも、四〜五年で切り上げた方が良いに決まっている。だから、俺としては、同じ『()る』なら、17歳になる前に()るしかなかったのさ。どうだ! すこぶる論理的な判断だろう?」

(コイツは、もうダメだ。)
 ニドルスはその「いかにも自慢げな言い方」を聞いて、もういろいろなことを諦めました。この男には、人間ならば誰もが持っているはずの「当たり前の倫理観や道徳心」が、そもそも(そな)わっていないのです。
 しかし、それも無理は無いことなのかも知れません。彼の両親は、彼に対してそういう「当たり前のモノ」を身に付けるための教育など一切して来なかったのですから。
 ニドルスは、もういろいろとスッ飛ばして、本題に入ることにしました。
「……解った。では、次に、
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