【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第9節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(中編)
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しかし、実のところ、特に嬉しくも無く、『いよいよ〈本局〉に縛りつけられて、ミッド地上の自宅に帰る時間が無くなってしまった』ことが、むしろ悲しいぐらいでした。
実は、ニドルスがあれ以来、長らく「ヴェローネおばさん」に会えずにいたのも、もっぱらそのせいだったのです。
そして、今は新暦25年の10月。
ミゼット・ヴェローネ・クローベル(46歳)は、久しぶりにニドルス(15歳)を自宅に招き、自分の経歴として、おおよそ以上のような話を語って聞かせたのでした。
さらに続けて、ミゼット・ヴェローネはまたこんなことを語り始めます。
「実は、あなたの御家族についても、あれから少しばかり調べさせてもらったわ。お兄さんは……随分と歪んでしまった人みたいね」
「ええ。まあ……」
「ところで、あなたはもう聞いてる? 彼は昨年の暮れに早くも出所して、年末のうちに首都圏で行方をくらませたそうよ」
「……いえ。今、初めて聞きました」
「もう一度ぐらいは、会ってみたい?」
「いや、それは勘弁してください。向こうから距離を取ってくれたのなら、こちらとしては大歓迎ですよ。もう二度とアイツの顔など見たくはありません」
ニドルスは本当に吐き捨てるような口調でそう答えました。
そこで、ミゼット・ヴェローネはわざとひとつ「嫌がらせ」のようなことを言います。
「でも、執務官になって首都圏の事件を担当したら、ばったり出くわすことだって、あるかも知れないわよ」
「それなら……研修で、一応は希望も訊かれるそうですから……ミッド以外の世界、なるべく遠方の世界の事件を優先的に回してもらえるように、希望を出しておきますよ」
「そうね。そうして少し経験を積んだら、今度は『巡回任務中の艦船に同乗して、あちらこちらの世界を巡ってみる』というのも、あなたのような子には向いているのかも知れないわね」
彼女がそう考えた根拠はよく解りませんでしたが、ニドルスにとっても、それは妙に納得のゆく未来像でした。
「それから、実は、ここからが今日の本題なのだけれど……ニドルス君。あなたにひとつ頼みたいことが……あなたにしか頼めないことがあるのよ。聞いてくれる?」
「はい。僕にできる範囲のことでしたら、何なりと」
ニドルスがそう即答すると、ミゼット・ヴェローネは、またいささか躊躇いがちに語り始めました。
「この家は元々、ディオーナのために建てた家だったんだけど……あの子のお墓は夫の墓と一緒に実家の方で用意してもらったから、ここにはもう何も無いの。
だから、この家ももう、売り払うなり取り壊すなりしてしまっても構わなかったのだけれど……今まで、私の気持ちの整理がつかなかったのよ。
それに、『犬は人に付き、猫は家に付く』とも言うし……ジェルデ
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