【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第8節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(前編)
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自慢げな口調です。
(身近な人と張り合えるのって良いことだなあ……。)
ニドルスにとっては、そんな些細なことですら充分に羨ましいことでした。彼には、そもそも自分にイトコがいるのかどうかすら、よく解らないのです。
二人はしばらく、勉強そっちのけで「ミッドの神話や猫に関する話」を続けていたのですが……そこへ不意に、ディオーナの母親が帰って来ました。
「サ〜プラ〜イズ! ただいま、ディオーナ〜。おみやげ、あるわよ〜」
二人そろって、玄関からの物音には全く気がつきませんでした。二人の主観としては、リビングルームのドアが「何の前触れも無く」いきなり開かれたような感じです。
そうして部屋に入って来たのは、四十歳前後と思しき、かなり小柄な女性でした。どうやら、昼間から少しばかり酔っているようです。
「ええっ! ママ? パーティーとかで帰って来られないんじゃなかったの?!」
「パーティー、つまんなかったから〜。あとはラルちゃんに任せて、ママ、帰って来ちゃった〜。ケーキ、二つだけ買って来たから、パパには内緒で、一緒に食べましょ〜」
そう言って、手に持った小箱をローチェストの上にそっと置いてから、彼女はようやくニドルスの存在に気がつきました。
「んん?」
バッチリと目が合ってしまいます。
ニドルスは、内心では慌てふためきながらも、即座に席を立って深々と頭を下げました。
「初めまして。お邪魔しております。自分はディオーナさんのクラスメートで、ニドルス・ラッカードと申します。以後、よろしくお見知りおきください」
緊張のあまり妙に堅苦しい口調になってしまいましたが、それでも、ニドルスは何とか噛まずにそのセリフを言い終えました。
すると、女性は上機嫌のまま、ウンウンとばかりに小さくうなずき、いかにも感慨深そうな口調でこう語ります。
「そ〜か〜。ウチの娘も、もう親の留守を狙ってオトコを連れ込むような齢になったか〜」
「そんなんじゃないから! もう。ママ、出てってよ!」
ディオーナは顔を真っ赤にして席を立ち、両手でぐいぐいと母親の体をリビングルームから押し出して行きました。
「え〜。ここ、私の持ち家なのに〜」
母親は悲しげな口調で不平を述べながらも、あえて逆らうこと無く、娘に押されるがままに廊下へ出て行きます。
「ケーキはあなたたちで食べちゃって良いから。……あ! ママ、お茶、出してあげる」
「それも、私がするから!」
廊下の方からは、そんな楽しい(?)会話が聞こえて来ました。
(何だか、愉快なお母さんだなあ。)
それもまた、ニドルスにとっては充分に羨ましいことでした。
(こういう家に生まれていたら、僕にももう少し違った人生があり得たんだろうか?)
ニドルスは「初め
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