【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第8節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(前編)
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「意識」してしまうことは、この年頃の少年少女にとっては、ごく当たり前のことでした。
その年、大人たちはみな、『カラバス連合との戦争がついに終結した』という話題で大いに盛り上がっていましたが、一度も戦場にならなかったミッドチルダの小児たちにとっては、そんなことは文字どおり「遠い世界のお話」でしかありません。
7月の末、ディオーナは「勉強会」と称して、ニドルスをついに自宅へ誘いました。
それでも、いきなり「自分の部屋」というのは、さすがに恥ずかし過ぎます。
ニドルスをリビングルームのソファーに座らせてから、ディオーナは『実は、今日は、父さんも母さんも帰って来ない日なの』と小声で告白しました。
途端に、ニドルスの挙動が「ぎこちない」ものになります。(笑)
しかし、そこにタイミングよく、ディオーナの飼い猫が姿を現してくれたおかげで、一気に二人の緊張が解けました。
訊けば、四年と四か月前、ちょうど彼女が初等科に入学する直前に、彼女の叔父の家で生まれた猫なのだそうです。
「四匹が一度に生まれた中で、この子だけ真っ白で、体が弱くてね。叔父は小さい頃から猫が好きだったけど、叔母の方は実は動物自体があまり得意じゃなくて……その上、リアに猫アレルギーが出ちゃったから、『この子猫たちは全部、里子に出そう』とか言い始めて……ああ。リアっていうのは、叔父夫婦の娘で、私と同い年のイトコなんだけどね。
当然だけど、今にも死にそうなこの子にだけは、里親が見つからなくて……それで、私が無理を言ってもらって来たの。……ジェルディス。あなたは何も憶えてないだろうけど、最初の何か月かはホントに大変だったのよ」
そう語りかけながら、ディオーナはその白猫を優しく抱き上げました。大きく成長した白猫は、声も上げずに、きょとんとしています。
「そのジェルディスというのは……もしかして、何か由来がある名前なの?」
「うん。今ではもう語られることも少ないけれど、ミッドにも本来、固有の神話があってね。そこに出て来る『夜空の女神、六つの夜風を率いて星空を征く〈闇の女王〉マウゼール』の双子の妹が『昼空の女神、六つの風を従えて青空を駆ける〈光の女王〉ハルヴェール』なの。そして、彼女に付き従う『六つの風』のひとつが、〈悪戯な旋風〉のジェルディスなのよ。……私は、活発で元気な子に育ってほしいと思って、この子にそう名付けたの」
「……ディオーナって、ホントに物知りなんだね」
ニドルスは心の底から感心した口調で言いました。
「ただ本が好きで、いろいろと読んで来ただけよ。頭の良さだけなら、私よりリアの方がよっぽど頭が良いわ。……まあ、魔力なら、私の方がだいぶ上なんだけどね」
前半はやや恥ずかしげな、後半はちょっぴり
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