【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第8節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(前編)
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ニドルスは新暦10年の7月に、ミッド北部のヘレニゼア地方で生まれました。それなりに裕福な家の次男坊で、「経済的には」何の苦労も無く育ったのだと言います。
ただし、彼は元来、魔法の才能には大変に恵まれていましたが、人間関係にはあまり恵まれてはいませんでした。
彼自身も口数が少ない上に、孤独が苦にならない性格だったため、初等科では「友人」と呼べる相手も(5年生になるまでは)一人もいませんでした。彼はいささか大柄で、目つきも悪く、ぶっきらぼうで、同年代の少年少女たちにとっては、典型的な「何やら近寄りがたい雰囲気の持ち主」だったのです。
また、家庭においても、彼の「父や母や兄との関係性」はごく希薄なものでした。
父親は厳格な(悪く言えば、相手の感情に配慮できないタイプの)法務官で、母親は教育熱心な(悪く言えば、自分の理想を生徒らに押し付けて来るタイプの)教師でした。
一方、彼の兄ヴェナドゥスは、実によく整った容貌の持ち主で、スポーツも万能で、学業に関しても「極めて」優秀な子でした。そのため、彼の両親は「過剰なまでの期待と愛情」をかけて、金も労力も惜しまず、この長男に高度な教育を受けさせました。
結果として、ニドルスの方は両親からはほとんど放置されて育ち、四歳年上の兄からは(若干の羨望が入り混じった)軽侮の眼差や嘲笑を受けて育ちました。彼も学業の成績は「明らかに平均以上」ではありましたが、それでも、兄ヴェナドゥスには遠く及ばなかったのです。
ニドルス自身が記憶する限りでは、彼の両親が生前、彼と「まともな会話」をしたことは一度もありませんでした。
また、ニドルスが小さい頃は、いわゆる〈大航海時代〉でした。
つまり、『新たな世界を発見し、座標を確認した』という報告が、毎月のように続々とミッドに届いていた時代だったのです。
その当時、『好奇心の旺盛な小児が「自分もいつかは、そうした世界を巡ってみたい」と思うことは、ごく自然なことだった』と言って良いでしょう。
ニドルスも「6歳児の集団検診」で、自分が実は「相当な魔力の持ち主」であることを知ると、大変に小児じみた夢ではありましたが、『僕もいつかは管理局で艦長さんになって、いろんな世界へ行ってみたい!』と思うようになりました。
幸いにも、地元の「魔法学校」が自宅から歩いて通える距離にあったので、彼の両親は周囲からの強い勧めに押し切られるようにして、翌年からニドルスをその学校の初等科に通わせることにしました。
今にして思えば、これもまた「彼が家族と疎遠になった理由」のひとつだったのでしょう。彼の父も母も兄も、魔力は全く持っていない「普通の人間」でした。
自分の魔力が、本物の「突然変異」な
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