第百二十二話 知れば知る程その九
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「かなりな」
「味が違いますね」
「ああ」
まさにというのだ。
「それで今日はだよ」
「美味しいんですね」
「そうさ、他にもキリマンジャロが手に入ったらな」
安く、というのだ。
「使うからな」
「そうなんですね」
「だからな」
それでというのだった。
「今日はな」
「ブルーマウンテンをですね」
「楽しんでくれよ」
「わかりました」
咲は微笑んでだ、マスターに応えた。
「そうさせてもらいます」
「何杯でもな」
「いや、学生割引でも」
それで半額になってもとだ、咲は少し苦笑いになって返した。
「やっぱり」
「何杯もは辛いか」
「はい、他のことにもお金使いますし」
「生きてるとお金って使うだろ」
「何かと」
「それも世の中だからな」
マスターは笑って返した。
「だからな」
「それで、ですね」
「うちの店のコーヒーにばかりとはいかないな」
「すいません」
「謝ることはないさ、飲める限りで飲むものだよ」
「コーヒーは」
「紅茶も他のものもな」
こう咲に言うのだった。
「何だってな」
「そうして飲むものですか」
「だからな」
それでというのだ。
「別にな」
「一杯でもいいですか」
「ああ」
こう言うのだった。
「そうしてもな」
「そうですか」
「じゃあその一杯をじっくりとな」
「飲むことですね」
「本当に美味いだろ」
「はい」
このことには異論なかった。
「本当に」
「だったらな」
「それならですね」
「堪能してくれよ」
その一杯をというのだ。
「それじゃあな」
「是非ね」
「ああ、それとな」
「それと?」
「砂糖もどっちもな」
「白砂糖も黒砂糖も」
「好きな方を使ってくれよ」
砂糖の話もしたのだった。
「折角だからな」
「そうさせてもらいます」
「まあ砂糖は使う使わないはいいさ」
このことはというのだ。
「別にな」
「そのことは」
「ああ、それは自由だよ」
「わかりました」
咲はマスターの言葉に頷いた、そして白砂糖の入った白く小さな砂糖入れを開けて底にある角砂糖を一つ取ってだった。
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