暁 〜小説投稿サイト〜
X ーthe another storyー
第四十一話 好意その十四

[8]前話 [2]次話
「今から」
「そうさせてもらいますわ」
「留守は玳透さんが護られるとのことです」
 護刃は場にすっと出て来た彼を見て話した。
「ですから私達全員で行かせてもらいます」
「地の龍も全員出ると思いますが」
 その玳透も言って来た。
「ですが僕は丁様をお護りするのがお役目ですから」
「そのこともあってだね」
「ここに残らせて頂きます」
「小鳥さんは洋館に戻りました」
 嵐は彼女のことを話した。
「そこで私達が孵った時の準備をしてくれています」
「じゃあ終わったら」
「洋館に戻りまして」
 ここにいる全員でというのだ。
「美味しいものを食べてです」
「そうしてだね」
「それから休みましょう」
「それじゃあね」
「勝ちて帰れよ」
 火煉が送る言葉はこれだった。
「いいわね」
「そうしてですね」
「洋館でね」 
 小鳥が待っているそちらでというのだ。
「お祝いもしましょう」
「それでは」
「では行こう」
 また神威が言ってきた、今度は微笑んでいる。
「今からな」
「うん、そうしよう」
 昴流はまた頷いた、そうしてだった。
 彼は仲間達と共に戦場に向かった、その姿をだった。
 丁は自分の力で見送っていた、そして。
「ご武運を、そのうえで」
「・・・・・・・・・」
 ここでだ、不意にだった。
 それまで悲し気だった口元が動いた、邪な笑みに一変してその口で言うのだった。
「運命に従って下さい」
「いえ、運命はです」 
 だが丁は同じ口で否定した、悲し気なそれに戻って。
「どうもです」
「変わるというのですね」
「ですから貴女も」
 口がその都度変わった、悲しい者から邪なものに。見れば目もその都度一変と言っていいまでに変わっていた。
「失敗しましたね」
「彼のことですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうでしたね」
「あそこで彼の心を変えられれば」
「人の痛みがわからない魔人に」
「それが出来れば」
 邪な顔で言うのだった。
「わらわの思う通りだったというのに」
「それはなりません」
 今度は悲しむ顔で言った。
「決して」
「しかしそなたは防げませんでした」
「運命だったので」
「わらわもそう思ってのこと」
「彼に仕掛けたのですね」
「ですが」 
 それがというのだ。
「彼は童の干渉を退け」
「そうしてでしたね」
「あの様に」
「よかったです」
「忌々しい」
「貴女がそう思うことこそが」  
 丁は言うのだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ