第四十一話 好意その十二
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「それならです」
「大丈夫だね」
「暫くは一つのやるべきことを終えてです」
「動けなくなっても」
「必ず最後はです」
「戦いのだね」
「来てくれますよ」
そうするというのだ。
「戦いの場に」
「そうなるんだね」
「もう僕から離れて欲しいですしね」
まるで兄が弟について語る様にだ、星史郎は優しい声で話した。
「彼は彼で前を向いてです」
「生きて欲しいんだね」
「その時もです」
まさにというのだ。
「来たのかと」
「そうなんだね」
「ですから」
「終わらせるんだ」
「そうします」
「そういえば君は彼に桜塚護の獲物の印を刻んでいたけれど」
「これまで彼の前には出なかったですね」
「それもまた」
星史郎にこのことも問うのだった。
「やはり」
「言うまでもないですよね」
星史郎の今度の返事はこうしたものだった。
「これまでのお話で」
「わかるね」
「そうですね」
「そういうことだね」
「はい、ではこの度は本音を語るだけ語りましたし」
「最後の最後はだね」
「僕は嘘吐きに戻りましょう」
にこりと笑ってだった。
星史郎は深い眠りに入った、牙暁も彼のそれに入った。
その夜星史郎は橋に向かう為に都庁を後にしようとした、だが地の龍の面々が集まっているその部屋を去ろうとすると。
封真が席を立ってだ、彼に言ってきた。
「俺達も行っていいでしょうか」
「立会人ですか」
「そうした立場で、です」
真剣な顔での言葉だった。
「行っていいでしょうか」
「僕と彼の勝負であることはご了承下さい」
星史郎は封真そして仲間達に顔を向けていた、そのうえでの言葉だった。
「くれぐれも」
「それならですね」
「はい、僕もです」
「それでは」
「では行きましょう」
遊人はにこやかに笑って言ってきた。
「今から」
「そうね。私も戦わないから」
この度はとだ、颯姫も立った。
「ビーストには休んでもらって私だけが行かせてもらうわ」
「僕もお願いします」
??が続いた。
「ご一緒させて下さい」
「行こうな、ただ天の龍とはお互い顔を見合わせない様にしような」
護刃のことを考えてだ、草薙はこう提案した。
「そうしような」
「それがいいわね」
庚は草薙の気持ちを封真以外の地の龍の者に気付かれない様にして彼の気持ちを汲んだうえで答えた。
「ここは」
「そうですね、それじゃあです」
封真は庚の考えに合わせて頷いた。
「これから」
「ええ、行って来てね」
「そうさせてもらいます」
「私も行きたいけれどここに残ってやることがあるから」
星史郎を見てだ、庚は名残惜しそうに述べた。
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