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第四十一話 好意その十一

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「その時に」
「そうしてだね」
「全て終わらせます」
「どうしてもだね」
「ですから今申し上げました」
 そうだったというのだ。
「お友達でいてくれて」
「今まで有り難うと」
「その様に。後もお願いします」
「夢見としてだね」
「皆さんを導いて下さい」
「そのことはね」 
 牙暁も即座に答えた。
「出来る限りでね」
「してくれますね」
「約束するよ」
「それでは」
「うん、ただ君はね」
「導けなかったというのですね」
「そのことが残念だよ。彼女を救えなかったし」
 無念そうに言った。
「あの時は」
「人の出来ることが限りがあります」
「だからなんだ」
「必死に動いて出来なくともです」
 それでもというのだ。
「仕方ないですよ」
「人間なら」
「そうです、人間が出来ることは限りがあります」
「神様と違って」
「所詮地の龍も人間ですよね」
「天の龍もね」
「多少力があるだけでして」
 普通の者と比べてというのだ。
「結局はです」
「僕達はどちらも人間だよ」 
 地の龍も天の龍もとだ、牙暁は星史郎にその通りだと答えた。
「まさにね」
「左様ですね、ですから」
「それでなんだ」
「牙暁さんがあの時何も出来なくても」
「いいんだね」
「若し北都さんが死ななけれど」
 あの時というのだ。
「どうなっていたか」
「君が死んでいたね」
「そうなればです」
「彼等は姉弟で向かい合って」
「僕が今地の龍の一人ですが」
「あの娘がなっていたね」
「どちらがいいのでしょうね」 
 澄んだ微笑みでだった、星史郎は牙暁に尋ねた。
「彼女が死んでいた方が僕が死んでいた方が」
「彼にとって」
「どうでしょうか」
「どちらも駄目だよ」
 これが牙暁の返事だった。
「若しあそこに彼が言っていてもね」
「僕が死んでですね」
「彼が桜塚護になってね」
「地の龍になり」
「天の龍となった北都と対していたから」
 そうなっていたからというのだ。
「同じだったよ」
「そうですね、そして本来の運命は」
「次の桜塚護は彼だよ」
「そうですね、では僕はその運命にです」
 まさにというのだった。
「あがらってみましょう」
「その為にも」
「はい、そして彼はです」
「今は仲間がいるから」
「大丈夫です、今の彼は一人ではないです」
 前に彼の姿今のそれを見つつ話した。
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