第四十一話 好意その九
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「そうよね」
「母さんを殺した時から」
「そうよね、それに私だってね」
「昴流君とはですね」
「殺し合いたくないわ」
決してというのだ。
「やっぱりね」
「そうですね」
「だからね」
それでというのだ。
「星ちゃんの攻撃かわさなかったの」
「そうでしたね」
「うん、それでね」
「僕は、ですね」
「終わらせてね、そして昴流ちゃんもね」
「救うのですね」
「二人共救われることがね」
このことがというのだ。
「いいわ」
「僕は貴女の命を絶ったのですが」
「そうね、けれどね」
星史郎を微笑んで見て言うのだった。
「私やっぱり星ちゃんを嫌いになれないの」
「そうですか」
「だからね。償えない罪があっても」
「人を殺したことですね」
「これまで何人もでしょ」
「どなたも覚えていますよ」
星史郎は答えた。
「一人もです」
「忘れてないのね」
「自然にそうなっています、いつも思い出します」
「そうよね。星ちゃんはもう償えないわ」
そこまでの罪を犯してきた、北都は確かに言った。
「けれどね」
「それでもですか」
「私生きて欲しいの」
「僕にも昴流君にも」
「そうなの。二人共生きて欲しいから」
だからだというのだ。
「今術もね」
「ええ、かけましたね僕に」
「そうしたわ」
「最初からそのつもりでしたね」
このことを察してだ、星史郎は北都に言った。
「それで僕のところに来ましたね」
「そうよ、敢えてね」
「僕の攻撃もかわさないで」
「そうしたわ」
「僕はかわされる様に仕掛けても」
「桜塚護にはなりたくなかったから」
北都自身がというのだ。
「それでよ」
「僕に術を仕掛ける為にも」
「うん、じゃあ今からお話するわね」
星史郎の手の中で語りはじめた、その後で。
星史郎は夢の中でだ、牙暁に話した。
「今まで有り難うございました」
「これからもだよ」
「ははは、僕の考えはわかっていますよね」
「駄目だよ、行ったら」
星史郎の背中に左横を身体全体で向けて目を閉じて告げた。
「君は行ったら」
「終わらせたいので」
「だからなんだ」
「はい、行きます」
「次の戦いは君だけがだね」
「行きます、行く場所はです」
そこはというと。
「東京ゲートブリッジですね」
「あそこも結界だから」
「あちらに行きます」
「そしてだね」
「終わらせてきます」
「僕だけじゃないよ」
牙暁は目を閉じたまま星史郎に告げた、再びそうした。
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