【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第5節】闇の書事件にまつわる裏話。(後編)
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と知らされました。
ユーノは思わず、怒りの口調で『どうして、僕には教えてくれなかったんですか!』と問い質しましたが、ガウルゥからは『それは、単に彼自身がそう望んだからだ』と冷たい口調で返されてしまいます。
「新たな長老アグンゼイドともすでに話はつけてあるし、『口伝の継承』もとうに済ませた。何も問題は無い」
ユーノも『代々の長老だけに語り継がれる「秘密の知識」がある』という話は聞いたことがありました。しかし、それならばなおのこと、『他の人に何かを伝える時間があったのなら、どうして自分には何の言葉もかけてはくれなかったのだろう』という残念な気持ちが募ります。
ガウルゥはさらに、冷たい口調でこう言い放ちました。
「俺は俺にしかできない仕事をする。お前はお前にしかできない仕事をしろ」
「それって……?」
「お前は、スクライア一族のことなど、もう考えなくて良い。このまま局に入って、大切な人々のために力を尽くせ。それから……お前は、ドルバザウムには来なくて良い。30年後に、祀り上げの際に一回だけ来れば、それで充分だ」
ガウルゥはユーノにそう言い残すと、例の小型艇に乗ってハドロの遺体とともにドルバザウムに行ってしまいました。
本当に「墓掘り」から始めて、何もかも自分一人だけでやるつもりなのです。
実を言えば、昨年の7月、無事にハドロの後任が決まった頃、ハドロたちの支族は、わずか半年で「ドルバザウムでの発掘調査」を早くも切り上げようとしていたのですが、そこへ思いがけず、管理局の方から「ちょっと奇妙な追加調査」の依頼が来ました。『その遺跡に埋葬された人々は、本当に全員が「同じ時期に」死んだものなのかどうかを確認してほしい』と言うのです。
随分と面倒な上に「そうすべき理由」がよく解らない奇妙な依頼ではありましたが、ともかく、ハドロの支族はその依頼を引き受け、その「学術的には何も面白くはない追加調査」を実行に移していました。
だから、ガウルゥも決して『本当にただ一人、この無人世界に置き去りにされてしまう』などということは無かったのですが……新たに選出された支族長が、じきにまた別の依頼をも引き受けてしまったために、その支族は、ドルバザウムには「ごく少数の人員」だけを残して、船で次の無人世界へと居を移してしまいます。
幸いにも、その無人世界はドルバザウムからもさほど遠くはなく、時おり船をドルバザウムまで往復させることなど、大した苦労ではなかったので、「ごく少数の人員」は交代で船に戻ることができたのですが……ガウルゥはそうした人員とも本当に最低限の言葉しか交わすことなく、ただ一人で黙々と「ハドロの墓守」を続けたのだと言います。
【実を言うと、この「奇妙な追加調査の依頼」は、「大
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