暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第4節】闇の書事件にまつわる裏話。(前編)
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 さて、〈アースラ〉は地球を離れた後、途中で〈時の庭園〉の残骸に()一時間ほど立ち寄ってから、〈本局〉に帰投しました。
 そして、フェイトとアルフにも臨時の個室が与えられ、それから数日後のこと。場所は〈本局〉内の、とある小会議室です。

 フェイトとアルフが、リンディ提督に導かれてその部屋に入ると、やや細長いテーブルの一方の側に、クロノとエイミィが並んで座っていました。
 リンディから勧められるがままに、フェイトとアルフが向かいの席に着くと、クロノはフェイトに早速、二冊の書物を差し出します。
「……これは?」
「君も知ってのとおり、〈時の庭園〉は崩壊し、その中枢部や機関部など、多くの部分がプレシアとともに虚数空間に落ちて行った訳だが、それ以外の居住区などは部分的に次元航路の側に残されていたからね。僕たちは、あの時点でそこにサーチャーを残して来ていたんだよ。
 そこで、実を言うと、先日は少しだけ立ち寄った際に、そのサーチャーからのデータに基づいて『今回の事件の資料になりそうなモノ』を急いで探し出し、〈時の庭園〉の残骸が航路の外へ『排除』されてしまう前に回収して来たんだ」

【こうした「次元航路の自浄作用」に関しては、また「背景設定5」を御参照ください。】

「ところで、僕たちは面識が無いんだが、リニスというのはプレシアの使い魔だったのかな?」
 フェイトが肯定すると、クロノはさらに言葉を続けました。
「もう何か月も閉鎖されていたようだが、実は、彼女の私室が丸ごと次元航路の側に残されていてね。どうやら、彼女は、プレシアから『捨てておくように』と命じられていたモノまで(ひそ)かに保存していたようだ。おかげで、君の裁判を有利に進めるための資料として使えそうなモノも、幾つか見つかったよ」
「じゃあ……これは?」
 フェイトの表情が驚きと期待の色を浮かべると、クロノは大きくうなずいて、その期待感を肯定しました。
「タイトルは特に書かれていないが、言うならば、それは『リニスの手記』と、本来ならば捨てられていたはずの『プレシアの手記』だ。リニスの方は昨年の秋の(あた)りで、プレシアの方は三年前の夏の辺りで、記述が途切れてしまっているけれどね」

「……読んでも良い?」
「ああ。〈上層部〉が内容を検閲した結果、『遺品として君に渡しても特に問題は無い』との結論に達した。だから、それは両方とも、黒塗り無しの『原本』だ。管理局は本日(ほんじつ)付けをもって、その二冊の本の所有権を正式に君に譲渡する」
「私が……持っていても良いの?」
 フェイトが今にも泣きだしそうな顔で問うと、今度は、エイミィが明るくうなずいて、こう答えます。
「大丈夫よ。両方とも複製はもう取ってあるから。それに、その二人は、フェイトちゃんにとって『お母さん』のよ
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