暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第4節】闇の書事件にまつわる裏話。(前編)
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こは、海鳴神社がある「北山(きたやま)」のさらに北方に位置し、それ故に海鳴では「奥峰(おくみね)」と呼ばれている山の頂上(いただき)でした。
 頂上と言っても、標高はせいぜい800メートルあまりといったところでしょうか。
 バブル経済の頃には、そこに何かを建てる計画でもあったのか、山頂は今でも随分ときれいに、おおよそ平坦に整地され、広々とした状態になっていました。ちなみに、現在では、この山全体が国有地で、「立ち入り禁止区域」となっているのだそうです。

 夜明け前という時間帯でもあり、当然に人目は全くありませんでした。
 昨夜の雪が薄く積もっており、東の空はよく晴れて明るくなり始めていましたが、まだ暗い西の空からは、再び黒い雪雲が押し寄せて来ています。
 南を向くと、北山の向こう側には海鳴市の街並みが見え、さらにその南方には海が見えました。また、向かって左側には、川を(はさ)んで敷浜市の街並みが見え、右側にははるかに遠見市の街並みが見え、さらには、その市名の由来となった遠見崎(とおみさき)という名前の岬が海に向かって長く突き出しているのが見えます。
(そうか。やはり、この土地には……。)
 アインスはみずから地面に魔法円を(えが)きながら「何か」に気づいた様子でしたが、それが何なのかについては、ついに誰にも語ることはありませんでした。

 そして、アインスは「完全消滅」のための魔法円を描き上げると、その中心に東を向いて立ち、外円の四隅(北東、南東、南西、北西)には四人の守護騎士が外側を向いて立ちました。なのはとフェイトはアインスの左右(北と南)にアインスの側を向いて立ち、各々のデバイスを構えます。
 これで、準備は完了しました。

 しかし、アインス自身による呪文の詠唱が一段落した時のことです。
 その魔法円の東側に拡がる(ひら)けた場所に、車椅子に乗ったはやてが、アルフやユーノとともに転送されて来ました。

 ユーノ《ごめん。はやてが『どうしても』と言い張って、僕たちでは止められなかったよ。》
 アルフ《何しろ、無理に止めたら艦内で暴れ出しそうな勢いだったからね。あんな魔力で暴れられたら、(ふね)が丸ごと沈んじゃうよ。》

 はやてはアインスを止めようとして、とっさに車椅子を走らせました。
 しかし、いくら整地されているとは言っても、さすがに「舗装(ほそう)された路面」ほど平坦な地面ではありません。魔法円の手前で、右側の車輪が石の上に乗り上げ、車椅子は傾いて、そのまま左に倒れてしまいました。
 それでも、脚の動かない9歳の少女は泣きながら、両腕の力だけで()い進んで行きます。
 アインスは思わず魔法円の(へり)まで進み出て、はやての手を取りました。

 そして、一連の会話の後、アインスはまた東を
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