暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第3節】ジュエルシード事件にまつわる裏話。
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もいません。
 おかげで、はやてはすっかり(ひと)(ごと)を言う癖が身についてしまいましたが、それでも、もしこの本が無ければ、車椅子での独居生活はもっともっと気の()()る代物になっていたことでしょう。

 はやては居間に入ると、いつものように上着を()いでハンガーに掛けました。
 しかし、今日に限って、「本」がしきりにその上着のポケットの辺りをを(つつ)き始めます。そこで、はやてが実際にそのポケットの中を手で探ってみると、いつの間にか、そこには一個のキラキラした宝石のようなモノが入っていました。
「ん? なんや、コレ? こんなん、別に拾った(おぼ)えも無いんやけど……。どこかからピョーンと飛び込んで来たんやろか?
 なんや、これが欲しいんか? ……う〜ん。まあ、見たとこ、本物の宝石でも無いみたいやし、わざわざ交番には届けんでもええやろ」
 はやてには、何となく「本」の言いたいことが解ります。そこで、はやては「何の疑念も無く」そのキラキラした宝石のようなモノを「本」に預けたのでした。

 はやてが一人で夕食を取っている間、居間では(ひそ)かに、アインスの「幻体」が出現していました。今はまだ、魔力(ちから)が足りず、幽霊のように半ば()(とお)った姿をしています。
(このエネルギー結晶体は……昔、ベルカで見たことがある! 確か……持ち主の「強い欲望」をそのままに(かな)えるロストロギアだ。元々は、二十何個かで一組になっていたはずだが……。
 我が(あるじ)(じか)に触れても何も起きなかったのは、やはり、(あるじ)に「強い欲望」が何も無いからなのか?)

 実のところ、はやてはとても「無欲な子」……と言うよりも、早々と「いろいろなことを諦めてしまっている子」でした。
 はやては、今は亡き両親とも本当に仲が良く、一昨年の春に『夏には妹が()まれる予定だ』と知らされた時にも心から大喜びをしていました。
 それだけに、彼女は『このまま、両親や「生まれて来なかった妹」の(もと)へと行けるのならば、それはそれでもう構わない』というぐらいの心境に(おちい)ってしまっていたのかも知れません。
(それはそれとして……確か、このロストロギアは「願望実現プログラム」さえ停止させれば、単なる「エネルギー結晶体」として純粋に魔力だけを取り出すこともできたはずだ。『効率は随分と悪くなる』と聞いているが……そうすれば、今すぐにも、その魔力を使って「騎士たち」を目覚めさせることが……。
 いや、待て。そもそも、魔法文化の無いこの世界に、何故こんなモノが? ……ここは、しばらく様子を見た方が得策か……。)
 アインスは、どこからともなく「(こぶし)(だい)の小箱」を取り出し、そこにジュエルシードを封印して
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