【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第2節】ユーノ・スクライアの物語。(後編)
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が必要となるだろう。これを使いなさい」
ハドロはそう言って、自分の首からペンダントを外し、ユーノにそれを手渡しました。その鎖には、「真っ赤な球形のクリスタル」がひとつ下がっています。
「このデバイスの名は〈レイジングハート〉と言う。少し早いが、『十歳の祝い』として、お前にこれを与えよう」
古代ベルカでは、優秀な魔導師であれば、10歳で早々と初陣を飾ることも珍しくはありませんでした。「十歳の祝い」とは、その際に贈られる「お祝いの品」であり、今で言う「就職祝い」のようなものです。
「え? 良いんですか? これって、長老の大切なモノだったのでは?」
ユーノがやや狼狽えた声を上げると、ハドロは何やら悲しげな面持ちでこう続けました。
「いや。実は、『本来の持ち主』はもういないんだよ。それに、これは高度な〈E−デバイス〉だが、どうせ私の魔力ではまともに使いこなすことができない。だから、もう私が持っていても仕方が無いんだ」
本来の持ち主が『もういない』というのは、やはり、『もう死んでしまった』という意味なのでしょうか。
ユーノは、内心ではそんな疑問を抱きながらも、ハドロの悲しげな表情を見ると、その疑問を「今ここで」口にすることはできませんでした。
【実のところ、「魔導用のクリスタル」には、互いに結晶構造の異なる二種類のクリスタルがありました。「一般の鉱物」である水晶(Crystal)と区別して、よく普及している方を「D−クリスタル」と呼び、稀少な方を「E−クリスタル」と呼びます。
昔から、D−クリスタルはもっぱら通常の「デバイス(Device)」や魔導機関などに使われ、E−クリスタルは主に「エネルギー(Energy)結晶体」やごく一部の特殊なデバイス(魔導書やユニゾンデバイスなど)に使用されて来ました。
(いわゆる「ロストロギア」に用いられるのは、後者のみです。両者は結晶構造が異なるため、当然に情報密度や魔力性能にも格段の差があるのです。
また、理論モデルとしては、E−クリスタルよりもさらに上位の、「F−クリスタル」とでも呼ぶべき「最終(Final)形態」もまた存在しているはずなのですが、これはまだ誰も見たことが無く、『理論の方が間違っていて、現実には存在しないのかも知れない』とも言われています。)
そして、古来、D−クリスタルから造られた普通のデバイスは「D−デバイス」と、E−クリスタルから造られた特別なデバイスは「E−デバイス」と呼ばれて区別されて来たのですが、次元世界大戦が終結した後は、古代ベルカ以外のすべての世界で、長らく『E−デバイスの作製は技術的に不可能』という状況が続いていました。
そして、管理局の技術部は、新暦も30
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