暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第2節】ユーノ・スクライアの物語。(後編)
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切なモノだったんじゃないんですか? 実際、15年前に、私が初めてあなたと出会った時から、あなたはアレをずっと大切そうに首にかけていましたよね?」
「ああ、アレはとても大切な『思い出』だよ。だが、思い出は所詮、過去のものだ。過去のために未来を縛ってはいけない。そうは思わないか?」
「あなたがそこまで言うのなら、もはや私ごときが口を出すべき事柄ではないんでしょうね」
 ガウルゥが(あきら)め顔でそうつぶやくと、ハドロもふっと微笑(えみ)を浮かべて言葉を続けます。
「それに、どのみち、アレは『いつか』あの子に譲るつもりでいた。今回の事件は、ちょうど良い機会だったというだけのことだよ。……さあ、ガウルゥ。私を診察室まで連れて行っておくれ」
 ガウルゥは無言でうなずき、また静かに車椅子を押し始めたのでした。


 ユーノは、6歳の頃から『自分の両親は「悪い人」だったのかも知れない』と考えていました。
 それでは、『悪人の血を引いているのだから、お前もどうせ悪人なのだろう』などと言われないようにするためには、一体どうすれば良いのでしょうか。
 もちろん、日頃の行動(おこない)によって、『自分は両親のような悪人ではない』ということを、みずから証明して見せるより(ほか)にはありません。
 心の奥にそんな(おも)いがあったからこそ、ユーノは「過剰なまでに」正義感や責任感の強い子に育ってしまったのでした。
 もしも、この時点でユーノが「過剰な責任感」に駆られて地球にまで出向いたりしていなかったら、ここから先の「歴史」は大いに変わっていたことでしょう。

(……あれ? でも、確か、地球って魔法文化が無いんだよね? そんな世界に僕が頼れるような相手なんて、いるのかなあ?)
 ユーノはそんな疑念と不安を(いだ)きながらも、大急ぎで次元港に戻り、そこに付属する「管理局直轄の転送施設」へと足を運びました。取り急ぎ、担当責任者に一連の事情を説明します。
 すると、担当責任者もひととおり悩んだ上で、こう述べました。
「解りました。あなたが『それ』の第一発見者で、『それについてよく知っている』という特別の事情があるのならば、こちらも特別に許可を出しましょう。
 本来ならば、こちらから陸士隊の一個小隊ぐらいは随行させなければいけないところなのですが、今はこちらも、一連の事件のせいで、大変な人員不足に陥っておりまして……こんな面倒な仕事を嘱託魔導師の(かた)にお任せするのは、こちらとしても本当に心苦しい限りなのですが……よろしくお願いします。
 とは言え、あなたはあくまでも民間人です。くれぐれも無理はしないで下さい。もしも手に負えないようなら、現地でおとなしく回収部隊の到着を待っていてください。あと一月(ひとつき)もは、かからないはずですから」
 
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