【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第1節】ユーノ・スクライアの物語。(前編)
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さて、スクライア一族は古来、六つの「支族」に分かれていました。
各支族はめいめい自分たちの次元航行船を保有しており、普段はそれぞれの「支族長」に率いられ、支族単位で(次元航行船単位で)別々に行動しています。
(また、それらの船に乗り込める人数には限度があるため、各支族の人数は多くても百数十人程度となっており、それぞれ支族長とは別個に「船長」がいます。)
また、「長老」というのは、そうした支族長同士の互選によって選ばれた「一族全体の代表」のことで、必ずしも最年長者ではありません。今の長老ハドロも、新暦53年に初めて長老に推挙された時には、まだ64歳だったと言います。
そんなハドロの許に、管理局から『第128無人世界にひとつ集落の遺跡を見つけたので、詳しく調べてみてほしい』という依頼が来たのは、新暦62年の6月のことでした。
しかし、よくよく聞けば、特に「急ぐ話」という訳でもないようです。
そこで、ハドロは管理局の担当者に対して『我々はまだ、この春から〈第93無人世界スパルトヴァール〉での遺跡調査を始めたばかりなので、こちらの作業を一段落させてから、自分の支族が責任をもってその件を担当する』と答えておいたのですが、その遺跡群の調査が(その後、新たな関連遺跡が発掘されたせいで)予想以上に長引いたため、結果としては、二年半もその依頼を放置する形となってしまいました。
そうして、新暦65年の1月になってから、ハドロたちはようやく自前の次元航行船で〈無128ドルバザウム〉の遺跡へと赴いたのです。
その世界(可住惑星)は、軌道上から見ただけでも『さぞや大昔からずっと無人の世界だったのだろう』と容易に見当がついてしまうような世界でした。
土地そのものはそれなりに肥沃なのに、「人間が農地の開墾や居住地の建設などによって自然界に手を加えた形跡」が、その小さな集落の遺跡の周辺を除けば、何処にも全く見当たりません。おそらくは、この遺跡も「失敗した移民団」が一時的に生活をしていただけだったのでしょう。
まず、「東西に長く伸びた遺跡」の南側には、その遺跡に並行して、今も東から西へと小川が流れていました。昔は相当な水量があり、川幅も随分と広かったようですが、今では気候の乾燥化により、剥き出しになった「かつての川底」の中央部に『膝までは濡らすこと無く』歩いて渡れる程度の水量が残っているだけです。
一方、その遺跡の北側には、その遺跡や川筋と並行して、小高い丘陵が東西に長く連なっていました。こちらも草に覆われてはいますが、樹木は(草よりも多くの水を必要とするため)もう全く生えていません。
また、人工的な建築物は、「そうした川筋と丘陵に挟まれた一連の遺跡」の中央付近に集中しており、そこがこの集
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