第八十五部第二章 日本大使館その二十六
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「賢明ですね」
「視野は広く先まで見て」
「細かいところまで見て」
「それが連合市民ですね」
「左様ですね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「政策の対決で劣っていますと」
「負けますね」
「その時は」
「まさにそうなりますね」
「そうです、エウロパのお貴族様が言う様にです」
チバは今もにこやかである、その笑みには闇はないがそれだけに彼女のエウロパへの感情がそのまま出ていた。
「連合市民は愚かではありません」
「衆愚ではないです」
「間違っても」
「彼等はよくそう言いますが」
「それは、ですね」
「むしろ科学的に証明されています」
やはりにこやかに言う。
「連合四兆の市民とエウロパ千億のお貴族様と奴隷のどちらが賢明か」
「IQで出ていますね」
「既にそれも千年の間変わっていない証明です」
「常に検証されていますが」
「連合三百以上の国の市民そして全体でもです」
その平均IQはというのだ。
「エウロパのどの国よりも上で」
「全体でもですね」
「エウロパ市民よりも連合市民の方が賢明です」
「科学的にはっきり出ています」
「これは運動能力もですが」
こちらでもというのだ。
「知力ではこの通りです」
「出ていますね」
「科学の数字は嘘を吐きません」
「断じて」
「左様ですね」
「そうです、私達より愚かな人達に言われても」
連合では強く広く言われていることだ、連合市民の方がエウロパ市民より知能が高いということがだ。
「何の意味があるか」
「全くですね」
「何の痛みも感じません」
「むしろ嘲笑を感じます」
「そちらになります」
「そうです、そういえば」
ここでチバはこんなことを話した。
「二十世紀の話ですが白人至上主義者が自分達の優秀性を科学で証明しようとすると」
「有名な逸話ですね」
「必ずそれはアジア系に至る」
「そう言われていましたね」
「人種の違いなぞ誤差の範囲でしかないです」
連合ではこのこともまた広く言われている。
「知能も運動も」
「訓練によって変わります」
「それも非常に」
「そして連合市民は常に努力していて」
「エウロパ市民より賢明です」
「そうです、その賢明な市民はです」
チバは皮肉なしに述べた、連合市民については何の屈託も皮肉もなく賞賛の言葉を言うことが出来るのだ。
「より良い政策を選ぶ」
「左様ですね」
「それは間違いありません」
「お高く止まった貴族と彼等に諂う奴隷ではないです」
「我々は階級を打倒した市民です」
同じ市民でもエウロパ市民とは違うというのだ。
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