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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ジパング
灼熱の戦い
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つなかなか倒れねえんだけど!!」
 そう言っている間に何発も攻撃を加えるナギ。相手はだいぶ弱っているようだが、それでも瞳の赤い光は完全に消えていない。
『グ……、ググ……』
 あれほど流暢に喋っていた本体オロチも、もはやうめき声しかあげていない。もう少しで倒れそうなのに……!!
 すると、オロチの身体にまとっていた紫色の光が静かに消えた。ルカニの効果が切れたのだ。
「ナギちん!!」
「ちくしょう!!」
 とどめの一発も、オロチを倒すまでは至らなかった。
『ふ……、ふふふふ……! 万策尽きた……、ようじゃの……。わらわの……勝ちじゃ……』
 息も絶え絶えなオロチであったが、このセリフから察するに、まだ何か勝つ見込みがあるのだろうか?
 一歩下がったナギは、シーラをかばうように彼女の前に出る。一瞬の静寂が場を支配した、その時だった。
『はあっ!!』 
 ギュイイイイィィィン……!
 気合の一声とともに、オロチが放ったのは、旅の扉を数倍大きくしたような渦だった。自分の目の前にその渦を生み出すと、オロチはそのままその渦へと飛び込んだではないか!
『!!??』
 想定外の行動に、私たちの脳裏に『?』の文字が浮かび上がる。魔物であるオロチがそんな技を使うことにも驚愕したが、なにより今際の際で逃げ出すなんて普通の魔物ではまずありえない行動であった。
「逃げやがった!?」
 突然倒すべき目的がその場から消え、戸惑うナギ。それはその場にいた全員が同じ気持ちであった。
「ナギ、シーラ!! 一体どういうこと!?」
 近くにいた二人ならわかるかと思い、大声で尋ねてみる。しかしこちらを振り向いたシーラも、どういうことか把握しきれていないのか、首を横に振った。
「あいつ……、逃げちゃった……。ごめん、あたしが力不足なせいで……」
「何言ってんだよ!! それはオレのセリフだっての!! オレがもっと攻撃を叩きこめていれば……」
「違うよ!! 私だって、もっとうまく立ち回れていれば、二人を危険にさらすこともなかった!! 私がもっと強ければ……」
「お前ら何三人そろって言い訳じみたこと言ってるんだ! まだ戦いは終わってないだろ!!」
 三人の間に割って入ったユウリの一喝に、私たちは一斉に彼の方を見る。ユウリは私が貼った薬草を押さえながら、その場に立っていた。
「見ろ。まだあいつが作った旅の扉はそこにある。今から後を追えば、まだ間に合うかもしれないだろ」
 彼の言うとおり、オロチがいた場所を見るといまだに旅の扉はそこにある。オロチが入っていったということは、あの旅の扉の向こうにオロチがいるということだ。
「で、でもユウリちゃん、扉の向こうがどうなってるかわからないのに、むやみに入るなんて無茶だよ! それにユウリちゃんが一番ひどい怪我してるのに
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