第八十五部第二章 日本大使館その二十四
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「私は公平にある様にです」
「務められていますね」
「それも常に」
「だからその国に魅入られない」
「そのことに注意されていますか」
「相手の国に魅入られますと」
そうなってしまった場合はというと。
「その国に無意識のうちでも肩入れするかも知れません」
「そうなればですね」
「中央政府の為に働けないですね」
「左様ですね」
「そうなってしまいますね」
「そうなってしまうことは避けなければなりません」
絶対にというのだ。
「ですから」
「それ故にですね」
「相手の国を公平に見られ」
「魅入られない」
「その様にされていますか」
「冷徹と言えば言い過ぎですが」
それでもというのだ。
「やはりです」
「それで、ですね」
「大使もその様にされていますね」
「日本に対しても」
「学ばれていますが」
「魅入られない様にされていますね」
「決して、ただ外交官を退けば」
その時はというと。
「少なくとも中央政府から離れますと」
「その時はですね」
「構わないですね」
「それこそ」
「学ぶ対象の国に魅入られることも」
日本にもというのだ。
「いいかと」
「そうですね、では」
「その時はですね」
「日本を学ばれても」
「魅入られますか」
「そうなるかも知れません、もう日本に移住して」
そして日本市民となってというのだ。
「この国でお仕事を見付けて」
「そうしてですか」
「日本で暮らされて」
「それで、ですね」
「日本に魅入られてその中で生きられますか」
「面白いと思っています」
その様にというのだ。
「その時は」
「ですか」
「確かに日本は非常に深い国です」
「学んでも学んでも学び足りない」
「そうした国ですから」
「そうですね、ただ私達の相手は日本政府で」
ここでチバはこうも言った。
「あくまで、です」
「あくまでとは」
「一体」
「何かありますか」
「はい、日本市民でもなく」
自分達の相手はというのだ。
「間違っても皇室ではありません」
「日本のですね」
「あの皇室ですね」
「四千年の歴史を持つ」
「日本の皇室ではないですね」
「日本の皇室は祭事を行われる方々で」
それでというのだ。
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