第三章
[8]前話
「そうだね」
「はい、確かに」
「そうですね」
「ちゃんと履いてますね」
「見れば」
「レーシィは左右逆に履くんだ」
靴をというのです。
「そして服も裏表に着ているよ」
「今ニコラエはちゃんと着てますね」
「裏表じゃなくて」
「そうしていますね」
「そうだね、そしてレーシィは元々この世界にいないから」
このこともあってというのです。
「影がないんだ」
「えっ、そうなんですか」
「レーシィは影がないんですか」
「そうなのですか」
「こうした特徴があるから」
だからだというのです。
「ちゃんとだよ」
「ちゃんと見ればわかる」
「レーシィが化けているかどうか」
「そうなんですね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「こうした特徴を知ってよく見れば」
「それでわかりますか」
「人かレーシィが化けているかどうか」
「そのことがわかりますか」
「そうですか」
「そうだよ、これからはこうした特徴を踏まえてみればね」
そうすればというのだ。
「それでだよ」
「わかりますか」
「レーシィかどうか」
「そうなんですね」
「そうして悪戯をされることもないよ」
村の皆が困っているこれをというのです。
「だから皆いいね」
「はい、覚えておきます」
「このことは」
「そしてレーシィを見破って」
「悪戯を防げばいいのですね」
「そうだよ、ではこれでどうすればいいかわかったし」
それでとです、ラックスマンさんは村の人達に笑って言いました。
「わしはこれで都に戻るよ」
「いえいえ、その前にです」
「何かお礼をさせて下さい」
「折角レーシィの見破り方を教えてくれたのですから」
「どうかそうさせて下さい」
村の人達はロシアで一番のおもてなしである丸いパンの上にお塩を乗せたものを差し出して他の多くのご馳走にお酒も出してでした。
ラックスマンさんをもてなします、ラックスマンさんもそこまでしてくれるのならと笑顔で応えてでした。
おもてなしを受けてそのうえで都に帰りました、その時お互いに手を振り合って別れてでした。
橇で都に戻ったラックスマンさんはことの全てを陛下にお話しました、すると陛下はにこりと微笑みました。ロシアのある村のお話です。
わかった 完
2023・6・11
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