第二章
[8]前話
「色々あるね」
「ああ、そうだな」
「言われてみるとな」
「そうだよな」
他の者達もそれはと頷いた。
「お前も何かとあったんだな」
「大変なことが」
「そうだったんだな」
「うん、いいこともね」
こちらもというのだ。
「あったしね」
「悪いこと大変なこともあればか」
「いいこともあったか」
「うん、大学は合格したし皆とも知り合えて」
そうしてというのだ。
「入社したのはホワイトで奥さんと知り合えて」
「ああ、それはいいな」
「確かにな」
「子供は病気もしたけれどすくすくと育っていい子だし」
水疱瘡等になった彼もというのだ。
「ご近所も問題ないしね、その親戚もいなくなったし」
「そうなんだな」
「いいことも多いんだな」
「悪いこと大変なことがあっても」
「そちらも色々あったけれどね」
いいこともというのだ。
「何もないかっていうと」
「全然違うか」
「そうした人生か」
「うん、そうだよ」
こう言うのだった、その彼の話を聞いてだった。
同窓会に出席した彼の友人達はこう話した。
「目立たなくてもな」
「生きているとな」
「それだけで何かとあるんだな」
「そうなんだな」
こう話した、そしてだった。
誰でも生きていれば何かとある、このことを知ったのだった。そうして自分達をそれぞれ振り返ってみるとだった。
「俺も何かとあったな」
「俺もだ」
「俺もだよ」
口々に言い合った。
「親が離婚したりとかな」
「地震に遭ったりな」
「病気で死にそうになったりな」
「すんでのところで助かったり」
「いい人に出会えたり」
「思わぬ大金が入ったりな」
何かとあったというのだ。
「いいことも悪いこともな」
「どっちもあるな」
「そうだよな」
「生きているとな」
「それだけでな」
「誰だってあるな」
こう話した、そしてだった。
誰もがと思った、そのうえで茂夫も入れてそれぞれの人生を語り合った。それは本当に何かとあるものだった。そのことがわかった同窓会だった。
モブの人生 完
2023・7・13
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