暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第176話:許して進む
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がら、透は魔法を使ってソーニャ達に避難を促した。この状況で暢気にメモ帳に文字を書いている余裕などない。

〈インディケイト、ナーウ〉
【2人共、早くここから逃げてッ!】
「分かったわッ!」
「頑張れよッ!」

 手を翳せばそこに文字を浮かび上がらせる事が出来る魔法を使い、透は頭で考えた言葉を2人に伝える。透からの警告を受けて、2人を始め他の客達もその場から逃げ出していく。
 アルカノイズはそんな人々を追い詰めるように、伸ばした解剖器官を振り回し壁や天井を破壊していく。

 これ以上好き放題に破壊されると、店が崩れて人々に被害が出る。その前にアルカノイズを全て倒そうと、透はハンドオーサーに右手を翳した。

〈ドライバーオン、ナーウ〉

 本来の姿を現したハンドオーサー。腰に巻かれたそのベルトの、手の平型のバックルを半回転させて向きを変えると透は颯人やガルドが口にする言葉を心の中で唱えた。

 自らの姿を変える魔法の言葉。変身……と。

〈シャバドゥビタッチ、ヘンシーン! チェンジ、ナーウ〉

 グロウ=メイジに変身した透は、愛用の双剣カリヴァイオリンを取り出しアルカノイズの群れへと突撃した。刃を振るう彼の心に、最早迷いはなく彼は次々とアルカノイズを切り伏せていった。

 そんな彼の元に、彼の希望が向かっていた。彼の希望であるクリスが、今正にこの場に向かいつつあった。

 そして同時に…………災厄もまた、まるで虫が光に引き寄せられるようにこの場に近付いていたが、透がその事を知る術はなかった。
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