暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
フェアリー・ダンス編
世界樹攻略編
聖譚歌の奏者達
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されど、倒せてはいない。

ヴィレッタはハンニャに抱えられ、レックスに乗って狼が跳躍で届かないほどの高空に逃げている。セインとアルセは必死に立ち上がって後退し、回復を図ってる。

よって2匹の狼のターゲットは俺に移行した。


「はっ……」


立ち上がると、大太刀を構えて鼻で笑う。SAO時代にもなかった絶望的状況の中、俺は妙に冷静だった。

命が掛かってないのもあるだろう。

だが、この感じはそんなものではない。そう、この気持ちは『信頼』。もちろん、()()()()とは連絡を取っていない。しかしだからこそ()()は確信へと変わる。





――旋律が流れる。



途端に俺とパーティーメンバーのHPが回復し始める。現れたのは金管楽器の『ホルン』を模した楽器を吹く音楽妖精(プーカ)




――2匹の狼が頭上からの強襲に気がつかず、地にひれ伏す。



巨大な剣を肩に担ぐ土妖精(ノーム)の剣士、そして自らの身長より長いクウォーター・スタッフを脇に抱える風妖精(シルフ)

そして俺を庇うように目の前に立ちはだかった火妖精(サラマンダー)水妖精(ウンディーネ)の刀使い。

その内、サラマンダーの方が俺を振り向くとニヤリと笑い、声を発する。


「よお、レイ。苦戦中かい?」


そう言って差し出された手を握って立ち上がる。


「馬鹿め、んなわけないだろ。休憩中だ」


地面に転がっている大太刀を拾うと彼らに並ぶ。言葉は要らない。彼らが何をしに来たかは分かっている。


「浮気か?カイト」

「ば、バカ。仲間を助けに来ただけだ!断じて違う!!」


どうやらホルンに散々何か言われたようだ。


「レイさん、そんなことよりとっととこいつらを片付けましょう。おちおち話してもられません。それに……」


ユウリが指差した先には暴れたくて仕方なさそうなアードとリオがいる。


「そうだな。先に片付けてしまおう」

「よっしゃ、待ってました!援護は任せて!」


ただ1人、支援武器に持ち換えたホルンの奏でる旋律がフィールドに響き渡る。


「行くぞ!!」


カイトの号令で全員が動き出す。狼達は急に増えたプレイヤーにどれをターゲットにすればいいのか迷っているようだった。


「はぁっ!!」


大太刀の全力の一撃が狼の鼻を切り裂いた。








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