第二章
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「それでだ」
「お怒りになられたのですね」
「それで今はな」
「あの方ともですか」
「だから余計に入られぬ、しかしそなたはペルセポネーにも気に入れられてるし」
森の持ち主の彼女にもというのだ。
「尚更よい、ではな」
「はい、見付けてきます」
ガニュメデスはゼウスに約束した、そしてだった。
すぐにその森に行ってだ、ゼウスの気配を探った。神の気配はその持ちものにまで及ぶが神の従者である彼にはそれがわかるのだ。
それで気配がした方に行くとポプラの木があった、彼はポプラの木の前に行くとすぐに木に対して尋ねた。
「スプーンを知らないかな」
「スプーン!?」
ぎょっとした声でだ、木はガニュメデスに応えた。
「知らないな」
「知らないのかい?」
「うん、全くね」
明らかに白を切る声であった。
「知らないよ」
「銀のスプーンだけれど」
「本当に知らないよ」
また言うのだった。
「僕はね」
「本当かな」
「だから知らないよ」
「じゃあね」
それならとだ、ガニュメデスはここで閃いた、それでだった。
木の枝強い気配を感じるそこを揺すってみた、すると。
そこからスプーンが落ちた、彼はそのスプーンを見て木に言った。
「持ってたじゃないか」
「それはその」
「奇麗で立派だから君のところに落ちたのを幸いに自分のものにしたんだね」
「わかるかな」
「スプーンにゼウス様の気配があるからわかるよ」
そもそもというのだ。
「そして君の白の切り方、嘘があんまり下手だから」
「そこからもわかったんだ」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「もうね」
「そうなんだ、嘘を吐いて御免」
「全く、二度とこんなことがない様にね」
「嘘を吐けない様にするよ」
自分から言ってだった。
ポプラは枝を空に向けた、そうして隠すことが出来ない様にした。そして嘘を吐いたことを恥じてであった。
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