第三章
[8]前話
「これはこれでいいか」
「いいっていいますと」
「だから木がだ」
これがというのだ。
「さかさまに植えたが」
「それでもですか」
「戻さずともな」
普通に植えなくてもというのです。
「これはこれでな」
「いいんですか」
「枝は独特の形でな」
瘤のある根のものです、まさに。
「そして幹がいい感じで伸びている」
「何かお空の雲を掴もうとする感じですね」
「面白い形をしている」
その木はというのです。
「まるでわしか人の手みたいだな」
「あっ、確かに」
ハイエナは神様のその言葉に頷きました。
「言われてみますと」
「そんな風だな」
「そうですね」
「これはこれで面白いからな」
それ故にというのです。
「いいとしよう」
「そうですか」
「うむ、しかし世の中はわからない」
神様は笑ってこんなことも言いました。
「実にな」
「といいますと」
「いや、そそっかしいそなたがさかさまに植えてだ」
その木をというのです。
「こうした木が出来るのだからな」
「それで、ですか」
「これはこれでな」
まさにというのです。
「面白い、だからこの木はな」
「このままで、ですか」
「植えよう」
笑顔で言ってでした。
神様はハイエナが植えた木をそのままにしました、そして木の一本一本に名前を付けていってでした。
その木についてはです、こう名付けました。
「この木はバオバブだ」
「それがこの木の名前ですか」
「そうだ」
木を植えたハイエナに答えました。
「そう名付ける」
「面白い名前ですね」
「この木に合っているな」
「ええ、それじゃあ」
「この木はこれからバオバブとする」
満面の笑顔で言いました、こうしてです。
バオバブは他の木と一緒にサバンナにある様になりました。今サバンナではバオバブの木はその形から他のどの木よりも目立っています。全てはここからのことなのです。お寝坊さんでそそっかしいハイエナからはじまった古いお話です。
さかさまの木 完
2023・6・11
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