第二章
[8]前話
「いや、世の中不倫とか浮気とか」
「そんな話多いのね」
「これがね、相手の人いるなら」
それならだ。
「そんなことしたら駄目でしょ」
「そう言うけれどしたらいけないこともね」
友人は私に言ってきた。
「するのが人間でしょ」
「犯罪とかね」
「不倫は今は犯罪じゃないけれど」
「したらいけないわ」
「そのしたらいけないことをね」
「するのが人で」
「だからあんたもよ」
私もというのだ。
「依頼受けるのよ、それでそうしたお話が多いから」
「不倫とか浮気とか」
「あんたもお仕事があるんでしょ」
「ええ、もういつもね」
それこそだ、私は弁護士になってからの日常を振り返って答えた。
「ひっきりなしよ」
「そうよね」
「事務所全体がね」
「不倫とか浮気があるからね」
「私達もお仕事あるのね」
「そうよ、だからよくないことでもね」
それでもというのだ。
「あるからね」
「お仕事があるのね」
「そういうことよ、感謝することでもないけれど」
不倫だの浮気だのがいい話の筈がない、そんな話で仕事を貰っても流石に感謝するつもりは私にはない。友人もそのことを知って言ってきた。
「世の中はそうしたものでもある」
「そう思ってなのね」
「やっていくことよ、それでゴタゴタが解決したらね」
「それに越したことはないわね」
「だからあんたはね」
「なりたくてなったしね」
弁護士にだ、大学の法学部に進んでからも司法試験の勉強をずっとしてきたのも弁護士になりたいからだ。
「それじゃあ」
「頑張っていきなさい、あんたの仕事で問題が解決して」
「一件落着になる人がいたら」
「それでいいでしょ」
「そうね、じゃあこれからも頑張ってやっていくわ」
「そうしたらいいわ」
私に笑顔で話してくれた、そして私も笑顔で頷いた。
そのうえでぼやくのを止めて自分の仕事をしていった、見れば問題が解決したら依頼者の人はやれやれとなったりほっとしたり笑顔になったり。そんなお顔を見て私はよかったと思う様になった。自然とそうした終わって安堵した顔が見ることが嬉しくて働く様になった。裏切りは酷いけれど追わればとりあえず安堵するものだと知ったうえで。
ただ結婚しても私も夫もそんなことはしなかった、夫も弁護士でそうした問題にいつも関わってきているからだ。不倫や浮気がどんな結果をもたらすかその解決をお仕事としてしてきているからこそ尚更だった。倫理観以上に現実を見てそうした。
URAGIRI 完
2023・4・26
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