第一章
[2]次話
URAGIRI
不倫とか浮気とかは私には縁がないと思っていた、けれど司法試験に合格して弁護士になってみるろと。
そんな依頼ばかり受ける、旦那さんが浮気しただの奥さんが不倫しただの。私が所属している事務所はそんな話ばかり来る。
それでだ、私はある日今の依頼の書類仕事をしながら所長さんにぼやいて言った。
「世の中不倫とか多いですね」
「そうだね、それをどうにしかすることがね」
「私達のお仕事ですね」
「そういうことだよ、ここはそうした事務所だからね」
「不倫の処理はですね」
「もうね」
それこそというのだ。
「当然と思ってね」
「やっていくことですね」
「案外弁護士の仕事ってこうしたものだよ」
初老の白髪の痩せた愛妻家の所長さんは笑って言った。
「家庭の問題の解決がね」
「法律からの」
「それがだよ」
「多いんですね」
「刑事事件の依頼もあるけれど」
「うちの事務所はですね」
「そうしたものは扱っていないよ」
これは実際のことだ、この事務所ではそうした依頼は受けていない。あくまで民事で民事はそうした話が本当に多い。
「人間案外ね」
「家庭の問題が多いですね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「だからね」
「私達はこれからもですね」
「不倫とか浮気のね」
「問題の解決をですね」
「法律からしていくんだよ」
「それが私達のお仕事ですね、弁護士になるまではこうしたことはウ無縁だと思っていたんですが」
そうしたことをするつもりはなくて周りにもそんな話がなかったからだ。
「それでもですね」
「今は縁があるってことでね」
「解決していくことですね」
「そうだよ、じゃあ君が受けた依頼もね」
「解決します」
私は初潮さんに答えた、何度かやっているうちにこうしたお話の解決の仕方のコツもわかってきてだった。
私は日々不倫や浮気の問題の解決にあたっていた、それで大学時代の友人にぼやいたこともあった。
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