第二部 1978年
迫る危機
慮外 その2
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超の機体を安全に操縦するために、大量の燃料を消費するため、戦術機の燃料タンクでは不十分だったのだ。
マサキは、八卦ロボの動力を早くから異次元から無尽蔵にエネルギーを取り出す次元連結システムに変えていた為に問題にはならなかった。
だが、この異世界での戦術機の動力は、全く異なった。
ジェット燃料とその爆発から取り出したエネルギーを充電するリチウムイオン蓄電池、マグネシウム燃料電池の混合方式であった。
その為に、どこのメーカーでも嫌がられる存在であった。
「ジェット燃料の事を考えて、大型の推進装置にはそれ自体に増槽の機能が追加してある。
約5300リットル、1400ガロン相当のジェット燃料が入るようにした。
これはちょうどF104戦闘機と同じ容量だ。
油の比重を考えれば1.26トン、軽量な戦術機も影響は受けまい」
(現実のF15J戦闘機には、600ガロン増槽を3個、2271.25リットルを装備している)
「戦術機の背面に追加するんですよね」
「そうだ」
「兵装担架が使えなくなってしまうではありませんか」
戦術機には乱戦に備えて、突撃砲の搭載を前提とし、背面射撃が可能な補助椀が付いていた。
そしてこの補助椀には、破損した武器を交換する兵装担架としての役割も付与されていた。
「そんなものなくとも、肩にロケットランチャーを装備して、装甲を厚くすれば十分だ。
現にサンダーボルトA10には、そんな邪道なものはついていない」
マサキは一旦言葉を切って、たばこに火をつける。
「なんならフェイアチルド・リムパリックに頼んで、サンダーボルトに搭載予定の機関砲でも融通してもらうか。
30ミリのアヴェンジャー・ガトリング砲だったら、BETAでも戦術機でも一撃だぞ」
「でも弾薬の事を計算したら、最大離陸重量が30トンを超えませんか。
あのファントムですら、28トンが限界ですよ……」
「だったら、余計な刀を外すんだな」
「近接短刀は、衛士の最後の心のよりどころです。
外せと言われても、衛士たちが簡単に外さないでしょう」
「自前で軽量な30ミリ機関砲でも作れとしか、俺は言えんぞ……
銃器は、俺の専門外だ」
ここに、マサキとこの世界の人間の考えの差が、如実に表れた。
マサキは、サンダーボルトa10の大火力をもってして、BETAを、他の戦術機を圧倒すればよい。
その様に考えていた。
それは、天のゼオライマーや月のローズ・セラヴィー、山のバーストンなどの、大火力を誇るロボットを設計した経験から導き出された答えであった。
一方、この世界の戦術機は、光線級吶喊、つまり浸透突破と呼ばれる戦術を重点に置いていた。
軽量な装甲で高速機動をし、刀剣で格闘をすることが出来るという事を何よりも
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