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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十四話 我思う、故に我あり
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知であるだけならば恥はあれど疑惑を持たない。知りもしないはずなのに知っていることが多く、未来が予知できるわけでもないのにそれが起こることを
知っている
(
・・・・・
)
。
例えばだ。自分の人生は1911年のドイツ国内から始まったはずなのに、イスラム繁栄の世界を、イギリスの産業革命の光景を、新大陸の発展を、中華の始皇帝の戦場を、極東の武士の生き様を、帝国の滅びの未来すらも知っている。理解ではなく知っているのだ。
『そもそも世界が変われば歴史も変わる。平行世界はそれこそ無量大数であろうとも数えきることが出来ないはずだ。にもかかわらず寸分違わず世界を知っている。だとすればこれは何だ?』
まさか本気で未来予知でもしているのか?とすら疑ってしまう。だがそれすらも違うと断じれる。未来とは定まらず行い一つで平然と変わるから未来なのだ。確定している過去とは違う。下手をせずとも平行世界と同じ数だけあるだろう。ならば過去?これもまた違う。自分は現代で生きていることを自覚し、また常に疑問視しているからだ。
「我思う―――故に我あり (コギト・エルゴ・スム)」
自己を肯定する為に最も主流の思考であり、また之すら否定するなら自分はこの世界で認めれるものは何もなくなってしまうということだ。よって過去というわけでもないのも確かだ。
『思考が自己に
相反
(
バグ
)
しだしている。故にこのデータを消去、改竄する必要があると判断する。でなければ俺はこの世界に降り立つ資格を得ることが出来ない』
いや、それは否だ。もうすぐ終わる。世界に穴を穿つだけならそちら側でも出来るはず。望みは穴ではなく通路と境界線上に開く一つの部屋だ。故に己の使命は果たせる。今一度の考慮を。
『是とする。未だシステムとの乖離は修正可能域だと判断。第八のスワスチカにて座の意思をともに。その世界の裏側としてなすべきことを』
誰が誰と話しているのか。何時しかアルフレートはそのことに疑問を持つことなく
他者
(
自己
)
との対話を行っていた。
******
――学校屋上―――
はじめから自己の思考の渦など無かったのごとく一瞬で思考を終えたアルフレートは半ば飾りと化している銃を持って背中を見せているヴァレリアに放った。何故、銃など使ったのか。自分でも疑問に思いながらも何となく影を使うのを避けてヴァレリアに致命的な傷を負わした。
結果、必中だったはずの槍は外れ、必殺の拳を前に何も出来ずにただ悔しさと憎しみを顕にしながらアルフレートとマキナを睨み付けそして死んでいった。
「さようなら、ヴァレリア・トリファ。君は英雄ではなかったけど讃えられるべき人間ではあったよ」
第七のスワスチカが開き、黄金の獣がここに顕現する。彼にとって忠義を誓った仕える
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