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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十四話 我思う、故に我あり
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もしていろ!!兄さんを、私を…ベアトリスをそんな馬鹿げたことに付き合わせるな――――――!!!!」

その一撃は先よりも重くそして今度こそ私を驚愕させるには十分な威力を誇っていた。



*****



「―――ッ!」

怒りをぶちまけた螢の一撃は先ほどの攻撃を確実に上回るものを放っていた。ただがむしゃらに、まともな型など無く、相手の反撃なども考慮せずに。だが、それが幸を期した。櫻井螢の攻撃は今初めて通用した。

「貴様……」

その口調には怒りだけでなく幾分かの口苦さが伴っていた。切り裂いた一閃、剣が通り抜けたその身には確かに微かな傷跡が出来ている。先程の一撃を虫に止まられた程度と感じるならば今回の一撃は猫に引っかかれた程度にすぎない。だが傷を負ったという事実には変わりなかった。
さて、突然だが櫻井螢がもつ幾つかの長所、その内の一つは諦めの悪さ。これが無ければ彼女は先の一撃で一矢報いることなど当然出来無かっただろう。
そしてもう一つはその愚直さだ。彼女のそれはアルフレートすらも呆れさせる程のものであり、ある意味では現実から目を背ける逃避行動とも取れるが、それは同時に正しいと思ったことには相手の言葉であろうとも聞き入れるというある意味では素直さもあわせ持つ。
その諦めの悪さと愚直さが今の一撃を生み出した。ザミエルの忠告、少数による場合の一点突破。無意識のレベルではあったが彼女は確かにそれを聞き入れ、実行した。その結果、成果というにはおこがましいが大隊長にその剣が通用した。だが、

「ッアァアァッ―――!!」

螢が距離を取ろうとすると同時に放たれた砲撃。その一撃は螢を軽く吹き飛ばす。

「良いだろう、多少なりとも傷を負わしたのだ。貴様を一端の兵士として認めてやろう」

所詮は犬猫に引っかかれた程度に過ぎない。口苦さが混じったのは自分で言った発言を自分自身の身体で負う事になったがゆえだ。誰が部下でもない雑魚に気まぐれで教えたツケを自分自身で払うことになることを喜べるだろうか。

「クッ――痛ぅ―――」

螢がエレオノーレに勝つ要素など持ちえはしない。それは鉄砲一つで要塞を落とすに等しい所業なのだ。彼女が勝つとすればそれは第三者による手助け、それも決定的なものが必要になるだろう。

「フン、そうだな……次の一撃。それを耐えしのいで見せろ。これまでのように片手間の一撃などという恥知らずな真似はせん。何なら躱してもいいぞ。尤も躱せるような甘い一撃を放つ心算(つもり)はないがな」

事実、構え放とうとしているこの一撃は先ほどのものとは比べ物にならない。最初に放った一撃やあしらう様に放った一撃と比べ何倍もの火力の差が存在している。これでも全力でないのは事実だが櫻井螢では受け止めることも、突破するこ
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