第百一話 怪我をしないことその一
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第百一話 怪我をしないこと
一華は達川と共に下校中のデートを楽しんでいた、その時だった。
自分の右手にいる彼が左手で鞄を持っていることに気付いてそれで言った。
「寛君って右利きよね」
「そうだよ」
達川もその通りだと答えた。
「それが何か?」
「今鞄左手に持ってるけれど」
「ああ、そうしてるんだ」
こう一華に答えたのだった。
「実は」
「利き腕じゃない手に?」
「俺ピッチャーだから」
「利き腕大事にしてるの」
「出来るだけ投げる時以外の負担かけない様にしてるんだ」
そうしているというのだ。
「怪我もしない様にね」
「気をつけてるのね」
「だから肘ついたりすることも」
そうした動作もというのだ。
「しない様にしてるよ」
「そうなの」
「ピッチャーの肩は消耗品って」
達川はこの言葉も出した。
「うちのコーチも言ってるし」
「だから大事にしなさいっていうのね」
「そうなんだ、それでサンダルも履かないし」
「そういえばいつも靴ね」
達川のこのことにも気付いた。
「サンダルとか履かないわね」
「サンダルだと足の指とか出て」
「ぶつけたりしたら怪我するわね」
「踏まれたりしても」
そうされてもというのだ、誰かに。
「靴よりも」
「サンダルは足の指が出てるから」
「怪我しやすいから」
だからだというのだ。
「ピッチャーは特にね」
「注意しろって言われてるの」
「練習はしても」
それでもというのだ。
「怪我特に利き腕は」
「注意しろって言われてるの」
「肩だけじゃなくて」
消耗品と言われたその部分以外もというのだ。
「肘も手首も爪も」
「全部ね」
「本当にいつも注意して」
それでというのだ。
「怪我しない様にね」
「言われてるのね」
「そうなんだ」
「ピッチャーも大変ね」
「試合中でも間違っても」
達川はさらに話した、暗くなってきている街中を一緒に歩きながら。
「クロスプレーとか」
「ホームに突っ込んで」
「野手ならいいけれど」
それでもというのだ。
「ピッチャーは駄目だって」
「言われてるの」
「今ブロックないけれど」
キャッチャーのそれはだ。
「ホームインしたら得点入るから」
「相手も必死に守るわね」
「キャッチャーがいて」
ホームにはというのだ。
「キャッチャーはマスクとプロテクター付けてて」
「自分の身守ってるわね」
「そんな相手に生身で突っ込んだら」
「怪我する可能性高いから」
「利き腕だって」
一番大事なそこもというのだ。
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