第百二十二話 知れば知る程その三
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「そうしたことは」
「人の失恋を嗤うことは」
「失恋した人を傷付けるだけです」
そうした行為に他ならないというのだ。
「そうして嗤う様な輩碌なものではありません」
「人間として質が悪いですね」
「葛と言ってもです」
そこまでというのだ。
「過言ではありません」
「そうですか」
「その様な輩のことなぞです」
「相手にしないで」
「前を向くことです、その様な輩人生も碌なものにはなりません」
「人間として質が悪いからですね」
「その通りです」
まさにというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「相手にしないで」
それでというのだ、速水は温和な微笑みを浮かべていたがその言葉にあるものは芯の強いものであった。
「そしてです」
「失恋を振り切ることですか」
「そうです、人を嗤う輩はその愚に気付かねば」
さもないと、というのだ。
「そこから進みません」
「成長しないんですね」
「はい、ただひたすらです」
「その場にいて」
「人を嗤うだけで」
それのみでというのだ。
「先にはです」
「進まないですね」
「程度の低い輩として終わります」
そうなるというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「相手になぞせず」
そうしてというのだ。
「傷を癒され」
「その後で、ですね」
「前に進まれることです」
「そうすることですか」
「そして辛さや苦しさを吐き出して」
失恋で受けたそれをというのだ。
「すっきりして下さい」
「そうしてもいいですね」
「親しい人とお話もして」
そうもしてというのだ。
「そしてです」
「そうですか」
「ご両親でも従姉の方でも」
「店長さんでもですね」
「私でよければ」
それならというのだ。
「お願いします」
「そうですか、ですが私出来るだけです」
ここでだ、咲は速水にこう返した。
「そうなりたくないです」
「失恋は、ですか」
「本当に」
こう言うのだった。
「嫌です」
「そう思われますね」
「ですから」
近藤に交際相手がいないというマスターの言葉を思い出しつつ言った、それなら自分にもチャンスがあると思ってだ。
そのうえでだ、咲は速水に強い声で答えた。
「それはないとです」
「思われていますか」
「はい、その様に」
「そうですね」
速水は自分の占いの結果、咲は今は忘れているがそれの恋愛の逆を覚えていてそこから彼女に答えた。
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