第百二十二話 知れば知る程その一
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第百二十二話 知れば知る程
マスターは咲に彼近藤のことを詳しく話していった、すると咲はメモを取らずともごく自然にだった。
彼のことが頭に入った、そして忘れられないので。
「あの、人って好きな人のことば覚えます?」
「はい、それがどんなものでも」
店で言うと速水が応えた。
「意識それも強くしている方のことなので」
「だからですね」
「すぐに何でもです」
「覚えるんですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「そうなります」
「そうですか」
「それが普通です」
「そうなんですね」
「誰もがそうなります、そして」
速水はさらに話した。
「心の中で反芻します」
「好きな人のことを」
「そして余計にです」
「覚えるんですね」
「そうなります」
「そうですか」
「ですから」
その結果というのだ。
「尚更です」
「覚えるんですね」
「そうなりますので」
だからだというのだ。
「もうです」
「忘れられないですね」
「そうです、いいことです」
「いいことですか」
「好きな相手のことを知ることもです」
「そして覚えることも」
「それも恋愛の楽しいことの一つです」
そうだというのだ。
「ですから」
「いいんですね」
「楽しむことです」
速水は右目を微笑まさせて述べた。
「そうしたことも含めて全てを」
「恋愛のですか」
「恋愛は楽しむものです、それもです」
「それも?」
「出来れば自分だけでなく」
咲にこうも言うのだった。
「相手の方もです」
「楽しむものですか」
「そうなればです」
それならというのだ。
「最高です」
「そうですか」
「ただ」
それでもとだ、速水はこう返したのだった。
「そうした恋愛は中々です」
「中々?」
「難しいです」
「そうですか」
「片思いの恋愛は」
これはというと。
「多いものです」
「そうですか」
「ですが片思いであっても」
それでもというのだ。
「やはり恋愛は恋愛で」
「それで、ですか」
「悪いものではない、いえ」
速水はこうも言ったのだった。
「むしろです」
「いいものですか」
「はい、それもまた楽しく」
そしてというのだ。
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