第四十話 憧憬その十二
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「僕としては残念だよ」
「そう思われていますか」
「皆君には急がないで」
そうしてというのだ。
「早まることをね」
「望んでいないというのですね」
「そう、待ってくれるかな」
「待てと言われましても」
それでもとだ、星史郎はここでも微笑んで話した。
「僕としてはです」
「運命かな」
「それに従うまでです」
「運命は決まっていないとしても」
「僕は決めますよ」
「どうしても」
「そうしたことを言う人は知っていますよ」
こう牙暁に話した。
「もう随分とお会いしていませんが」
「そのことも知っているんだ」
「何しろ僕が殺した人ですからね」
やはり微笑んで言うのだった。
「知らない筈がありません」
「そうなんだね」
「はい、ですが」
それでもと言うのだった。
「僕としてはです」
「運命は決めてでも」
「そうしますよ」
「そうなんだね」
「そして」
そのうえでというのだ。
「必ずです」
「終わらせるんだね」
「僕の望む様に」
「そうするんだね」
「終わらせるものは終わらせるものですね」
自分と向かい合っている牙暁に対して述べた。
「そうですね」
「無理にでもかな」
「まさか。もう時が来ていますので」
「それも運命だね」
「そうです、もうです」
それこそというのだ。
「運命の時が来ています。どのみち人間が滅ぶなら」
「僕達の望む様に」
「そういうことになっていますね」
「そのことも気付いているんだね」
「そうだと言えば何かありますか?」
「僕は夢見。何も出来ないよ」
牙暁は目を閉じて答えた。
「戦うどころか起きることも出来ないから」
「だからですね」
「それは出来ないよ」
こう言うのだった。
「君がどうしようともね」
「そうですか。ですがどなたにもです」
「言わないんだ」
「僕達地の龍は人間を滅ぼして地球を救う」
「それが目的だね」
「そうなれば」
地の龍の表向きの目的、星史郎はそこに自分の真意を隠していた。牙暁にはわかっていても敢えてそうしてみせた。
「その時はです」
「どのみちです」
「桜塚護はいらない」
「そうですから」
「終わらせるんだね」
「そうします」
こう言うのだった。
「その時が来たので」
「そうしなくても終わらせられるよ」
牙暁は星史郎の話をここまで聞いてこう返した。
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