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第四十話 憧憬その十一

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「それぞれ幸せに生きていくことをね」
「望んでいるわね」
「どちらかがいなくなるんじゃなくて」
「二人共いたままでいる」
「そうあって欲しいとね」
 その様にというのだ。
「思っているよ」
「そうなのね」
「だから」
 それでというのだ。
「本当に誰もだよ」
「二人にそうなって欲しいと思っていないわね」
「天の龍の方もね」
「それなら人の話を聞いて」
 二人について思うのだった。
「そしてね」
「そのうえでだね」
「ええ」
 そしてというのだ。
「生きて欲しいわ」
「そして戦いが終わって」
「皆で生きていることをお祝いするのよ」
「そこに彼もいないとね」
「駄目よ、だから」
 それでというのだ。
「彼にもね」
「生きて欲しいね」
「絶対にね」
 何があってもというのだ。
「そうよ」
「全くだね」
「残された時間は少ないわ」
 自覚していた、このことは。
「それまでに何とかね」
「彼を説得して」
「心変わりしてもらわないと」
「また戦いが行われるけれど」
「そうなると真っ先によ」
「彼は出ると言って」
「もう一人の彼もよ」
 二人共というのだ。
「出ると言うわ」
「そうなるね」
「これは運命でなくてね」
「二人の性格から見てわかるよ」
「そうね、そして」 
 そのうえでというのだ。
「私達はそれまでの間によ」
「彼を止めよう」
「何とかして」
「では僕は夢から」
 牙暁はまたこう言った。
「そうさせてもらうよ」
「お願いするわね」
「うん、運命をね」
「変える、いえまだ決まっていないなら」
 『彼女』が牙暁に言った言葉を思い出して言った。
「それならよ」
「決めよう」
「私達でね」
 二人で夢の中でこうした話をした、そして牙暁は庚がここから深い眠りに入ると彼の夢に入ってだった。
 声をかけた、そして言うのだった。
「急ぐことはないよ」
「何のことでしょうか」
 星史郎は微笑んで応えた。
「一体」
「そう言うと思ったよ」
「そうですか」
「君はね」
「喜んでいいのでしょうか」
「いや、君を喜ばせる為に言ってるんじゃないから」 
 このことはというのだ。
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