第百話 彼岸を過ぎてその十二
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「近寄って来る奴いるな」
「たかったりして」
「そうした奴はな」
実際にというのだ。
「本当にな」
「いなくていいわね」
「そうした奴はな」
「あれよね、学校の理事長さん達が信者さんのね」
「教会にいた人だよな」
「最低よね」
「図々しくて遠慮も反省も何も知らなくてな」
成海もその人のことを知っていて言った。
「感謝もしない恩知らずで尊大で」
「働かない、親戚の人の家に急に上がり込んでお邪魔しますも言わないでふんぞり返って来て」
「勝手に人の部屋に入って本漁ってな」
「ご飯無遠慮に何杯も食べて」
「お風呂入って布団出させて寝てな」
「朝ご飯まで食べて帰って」
「人助けなんてしなくてな」
一切というのだ。
「自分だけで不平不満ばかり言う」
「こうした人はね」
「本当に親戚にいて欲しくないな」
「そうよね」
「流石に今誰からも見放されてな」
「行方不明だったのよね」
「何かな」
成海はその人についてこう言った。
「まだ生きてるらしいんだよ」
「そうなの」
「あの人学校でも有名だろ」
「理事長さんと身内の人達が信者さんの天理教の教会にいた人だから」
「そこで厄介になっていたな」
「その人で」
「うちの学校でも有名だけれどな」
それでというのだ。
「今生活保護でな」
「生きてるの」
「そうらしいな」
「まだ生きてるのね」
「それも国民の税金でな」
「そんな人だけれど」
「あれだろ、働かないで奥さんに食わせてもらってて」
そしてというのだ。
「それで感謝しないで偉そうに言うだけで」
「相談にも乗らないでね」
「家族として何もしないでな」
「遂に逃げられて」
「その時爪切りまで持って行ったよね」
「これまで食わせてもらってたのにな」
その恩義、感謝の気持ちがなくというのだ。
「そんなこと言ったんだよな」
「信じられないことにね」
「本当に信じられないよ」
成海は心から言った。
「長い間そうしてもらってな」
「自分があまりにも酷いから逃げられたのに」
「あれだろ、働かいのはまだよくてな」
「偉そうでご飯作っても文句ばかりで」
「相談に乗らなくてな」
そうした有様でというのだ。
「もう一緒にいても何もないってな」
「愛想尽かされてだから」
「自分が悪いのにな」
「それで食べさせてもらったことに感謝しないで」
恩義も感じずだ。
「爪切りまで持って行っただから」
「爪切りまでお世話になってたんだな」
成海は眉を顰めさせて言った。
「感謝しろよ」
「というか爪切り自分で買わない位ケチで」
かな恵はここでこう考えた。
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