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社長の娘の長所
第二章
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 花森は社長、黒沢の父に提案した。社長はそれならと応えてだった。
 そちらの社長と直接話した、するとすぐにトラブルは解決した。花守は黒沢の思わぬ提案でことが収まって驚いた。
 このことだけでなくだ、他にもだ。
 黒沢は何かあると誰と話すればいいとか何処に頼めばいいかと言ってその都度会社のピンチを凌がせチャンスをものにさせてきた、花守はそれを見て社長に言った。
「あの、黒沢さんですが」
「ああ、娘だね」
「実は仕事はまだまだですが」
「あの娘昔からうちに出入りする取引先の人とよく会ってきてね」
「顔見知りの人多いんですね」
「そう、それで大学まで地元で色々な友達もいて」
 それでというのだ。
「部活でも後輩の面倒見がよくて」
「顔がヒロインですか」
「塾も行ってたしボランティアもしていてね」
 こうしたこともあってというのだ。
「色々顔が広いんだよ」
「そうですか」
「地元でね」
「だから色々誰と会えばいいとか言えるんですね」
「そうだよ、あの娘は」
「そうでしたか」
「聞いてるよ、おっちょこちょいでそそっかしくて」 
 社長もこのことを話した。
「ミスが多いね、空回りばかりで一つのことにかかると周りを忘れて」
「それは」
「うちでもそうだから、けれどね」
「そうしたところもありますね」
「あと努力もして少しずつでもよくなってるね」
「それは」
 多くは言えなかった、社長でしかも本人の父には。
「何といいますか」
「言わなくていいよ、けれど人脈はあるから」
「それを活かせばいいですね」
「これからも頼むよ」
「わかりました」 
 花守は社長の言葉に頷いた、そしてだった。
 黒沢の上司を続けた、そのそそっかしかったりする問題点は少しずつ改善していってでそれでだった。
 人脈で会社に貢献していった、それで花守は同僚に話した。
「人脈があることはね」
「武器ね」
「それだけでな、いやそのことを実感してるわ」
「世の中結局人と人だからね」
「ええ、おっちょこちょいとかもましになってきたし」
 それでというのだ。
「何か頼りにもね」
「してきた?」
「そうなってきたわ、性格はいいし」 
「真面目で努力家で」
「穏やかでね、それじゃあこれからも」
「一緒に働いていくのね」
「そうしていくわ」
 こう言うのだった、そして彼女と共に働いていき。
 やがて花守は結婚退職したがそれからも地元にいて黒沢のことも時々聞いた、重役となり結婚もした彼女は会社の縁の下の力持ちとなっているとのことだった。その人脈を活かして。それを聞いた結婚して名字が変わった花守はそうなって当然と聞く度に思ったのだった。


社長の娘の長所   完


                     
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