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社長の娘の長所
第一章

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               社長の娘の長所
 社長の娘である黒沢真希絵が部下になってだ、秘書課で社長の秘書をしている花守純子は苦労していた。黒く短くした髪の毛で長身で整ったスタイルをしている、切れ長の黒い目は睫毛が長く眉の形もいい。紅の唇があでやかである。
「やる気はあるけれどなの」
「おっちょこちょいでね、そそっかしくて」 
 友人に彼女のことを話した。
「いつも空回りなのよ」
「ああ、いるわねそうした人」
「努力してもピントがずれていて」
 友人に居酒屋で飲みつつ話した。
「どうもね」
「困るのね」
「凄く真面目でも」
 それでもというのだ。
「そうした娘だから」
「大変よ、目が離せないのよ」
「努力してても」
「色々教えてるから」
「ましになってる?」
「なってるけれど」 
「困ってるのね」
「骨が折れるわ、書類仕事も打ち間違いとかファイルのページバラバラだったり」
 具体的な例を話した。
「お掃除もしてないところあったりね、もの運んでも落としたり」
「じゃあ取引先の連絡も」
「仕事の内容間違えたり他のお仕事あったら」
 それならというのだ。
「忘れたりね」
「色々あるのね」
「メモはしていても」
「それはしてるのね」
「忙しいと見忘れたりね」
「一つのことにかかると周りが見えなくなったり」
「そうした娘よ、社長さんの娘さんで」
 それでというのだ。
「お兄さんがしっかりしてて社長さん継ぐから」
「将来経営することはないのね」
「それでも重役は約束されてるから」
 会社のというのだ。
「私も教育任されてるけれど」
「そうした人だから」
「困ってるわ、落ち着いて周りを広く見てやってくれたらね」
 ビールを飲みながら仕事の愚痴として言った、兎角黒沢は花守にとっては困った部下であった。だが。
 ある日仕事でトラブルが起こって取引先と揉めた時に黒沢に言われた。
「高橋物産ですよね」
「ええ、今揉めてるのは」
「あそこの社長さん知ってますから」
 だからだとだ、黒沢は言ってきた。薄茶色の髪の毛を伸ばしセットしていて小さめの穏やかな目で唇は小さい。背は一五四位でスタイルも楚々とした感じだ。何処か小動物を思わせる雰囲気を見せている。
「私がお話してお父さんと直接お話する様にしたら」
「お父さんじゃなくて社長ね」
「そうでした、それで高橋のおじさんでしたら」
 今度は取引先の社長をこう言った。
「社長と懇意なので」
「トップ同士のお話でなの」
「いつもそれで揉めても仲よくなってますし」
「仲なおりしてるの」
「お仕事でもプライベートでも」
「それじゃあそうなる様にしていくわね」
 黒沢の言葉を聞いてだった。
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