フェアリー・ダンス編
世界樹攻略編
黒衣の来訪者
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ぞ」
私とリーファは答え代わりに剣を構える。
「気の強い子達だな。仕方ない」
後の2人も寄ってきてリーダー格の男と共に浮き上がる。
その時、後ろの灌木ががさがさ揺れると、黒い人影が飛び出てきた。空中でぐるぐる錐揉みし、派手な音をたてて墜落した。
……始めたばかりの初心者がよくやる『墜落事故』のすごい版だ。タイミング的にお兄様が言っていた、あの人だと思われるが、何とも不安にさせられる登場だ。
「うう、いてて……。着陸がミソだなこれは……」
初期装備から見て間違いなく《キリト》だと確信を持つが、タイミングが悪かった。
「何してるの!早く逃げて!」
リーファがそう警告するが、黒衣の少年は動じる様子はない。
「重戦士3人で女の子2人を襲うのはちょっとカッコよくないなあ」
「なんだとテメエ!!」
いや、まさかカッコいいと思ってるわけ?
(……仕方ないわね)
自らに禁じた《本気》を解放しようとした時、信じられないことが起こった。
必殺の威力をはらんだランスの先端を掴み、ランスごと背後の空間に放り投げた。
(……これが、お兄様の認めた)
黒衣の少年は背中の剣に手をかけ、こちらに向かって訊ねる。
「ええと……あの人たち、斬ってもいいのかな?」
「……そりゃいいんじゃないかしら……。少なくとも先方はそのつもりだと思うけど……」
リーファが呆然として答える。無理もない。事情を知らなかったら私も呆然としていたに違いない……。
「じゃ、失礼して……」
剣を抜くとだらりと下に垂らす。
(………っ!無形の構え)
重心を倒していき、次の瞬間―――ズバァン!!という衝撃音共に少年の姿が掻き消える。
剣において、水城家最速の使い手、蓮の太刀筋すらまだ見ることができる。仮想世界だからといって、それより遥かに速いなどということはあるのだろうか……。
「どうする?あんたも戦う?」
あまりにも緊張感のない少年の言葉に、我に返ったサラマンダーが苦笑する気配がした。
「いや、遠慮しとくよ。アイテムを置いておけというなら従う。もうちょっとで魔法スキルが900なんだ、デスペナルティがおしい」
「正直な人だな」
少年も短く笑う。
サラマンダーが去っていくと、自分の長刀を腰に戻し、少年に向き直る。
「……で、あたし達はどうすればいいのかしら。お礼を言えばいいの?逃げればいいの?それとも戦う?」
……ガクッ!
「リーファ、何故あなたはそんなに好戦的なの……」
「う……ごめん」
少年は背中の鞘
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