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第四十話 憧憬その九

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「彼はね」
「きっとそうするよ」
「残念なことにね」
「僕達が残念と思っていても」
 それでもとだ、牙暁は言葉を返した。
「彼はどうか」
「違うでしょうね」
「きっと終わらせることがね」
 まさにこのことがというのだ。
「彼にとっては最高のだよ」
「やるべきことね」
「その筈だよ、だからね」
「私達としてはそうして欲しくないけれど」
「彼はそうするよ」
「そうなるわね」
「止めたいし夢の中でね」
 自分の世界の中でというのだ。
「そうしているけれど」
「はぐらかされているわね」
「いつもね」 
 実際にというのだ。
「そうだよ」
「彼らしいわね」
「わかっているから」
 牙暁としてもだ。
「何とかね」
「止めたくて止めているわね」
「そうしているけれど」
 それがというのだ。
「出来ないでいるよ」
「私も気付いているわ、そして薄々でもね」
「皆もだね」
「そうよ」
「やっぱりそうだね」
「皆わかるわよ」
 彼等もというのだ。
「力もあるし勘でもね」
「皆勘がいいからね」
「わかるわ、頭もいいから」 
 その皆がというのだ。
「薄々でもね」
「わからない筈がないね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「やっぱりそうだね」
「だからこそね」
「皆止めたいね」
「事実そうしているけれど」
 牙暁がそうしている様にというのだ。
「中々よ」
「そうはいかないね」
「どうしてもね」 
 そうだというのだ。
「彼はもう決めているから」
「決意しているね」
「絶対にね」
 こう言っていいまでにというのだ。
「そうしているから」
「僕達が止めても」
「そうなるわ」
「そうだね」
「皆このこともね」
「薄々でもわかっているね」
「そうよ、残念だけれどね」
 庚は口惜しそうに述べた。
「言っていても」
「未来、運命は見えているね」
「そうなのよ」
「止めたいね、それでも」
 牙暁は庚に問うた。
「どうしても」
「友達を無下に失いたい人はいるかしら」
「そんな風に思えば」 
 その時点でとだ、牙暁は答えた。
「もうその時点でだよ」
「友達ではないわね」
「そうだよ」
「私も皆もよ」
「彼と友達になれたから」
「だからこそよ」
 まさにというのだ。
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