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第四十話 憧憬その五

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「自衛隊に入隊するさ」
「そうか、それじゃあな」
「そっちで頑張ってくれよ」
「お前はいつも誰か護ってるしな」
「身体張ってな」
「こんな体格だしな」
 大柄なそれのことも言った、だが力のことは隠した。既に自覚していたが。
「出来ることってな」
「弱ってる人を助けて」
「いじめや暴力を防ぐことか」
「親にも言われてるんだ、力があれば力がない人の為に使えってな」
 こうも言う草薙だった。
「だからな」
「自衛隊に入って」
「これからもだな」
「他の人を護って助けていくな」
 こう言って自衛隊に入った、そこでもいじめなぞ絶対にせずむしろそうしたことを受けている人達を護っていった。
 そのことを知ってだ、??は感嘆して言った。
「素晴らしいです」
「そうか?至らないことばかりだろ」
「いえ、全く」
 こう言うのだった。
「思いません」
「それならいいけれどな」
「草薙さんみたいな人と知り合えてよかったです」
 ??はこうも言った。
「本当に」
「そこまで言ってくれると嬉しいな」
「僕もです」
「まさか俺みたいになりたいとか言うんじゃないだろうな」
「駄目ですか?」
「俺は全く立派な人間じゃないからな」 
 だからだというのだ。
「俺なんか目指さなくていいさ」
「そうですか」
「ああ、別の人を目指すんだよ」
「そうですか」
「本当にな」
「ではです」
 今度は封真が口を開いた。
「俺の番ですか」
「僕のお話は長くなります」
 星史郎が言って来た。
「ですから機会をあらためて」
「それで、ですね」
「お話させて頂きます」
「わかりました、それじゃあ」
 封真は星史郎の言葉を受けてだった。
 自分の話をはじめた、それは彼の幼い頃だった。
 神社にいる父にだ、幼い彼は訪ねていた。
「お父さん、小鳥が」
「いないのか」
「何処かに行ったんだ」
「公園じゃないのか」
 父はすぐにそこではと答えた。
「この神社の傍のな」
「公園?」
「小鳥は頭がいい」
 だからだというのだ。
「家の近所から離れないだろう」
「それに身体も弱いし」
「心臓がな、だからな」
「お家から離れていないんだ」
「うちにいないならだ」
 神社の境内にというのだ。
「あそこだ」
「じゃあ行って来るよ」
「帰って来たらだ」
 父は息子にそれからのことも話した。
「母さんが晩ご飯を作っているからな」
「晩ご飯だね」
「一緒に食べるぞ」
「うん」
 父の言葉に頷いてだった。
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