第四十話 憧憬その一
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第四十話 憧憬
都庁の地下で紅茶それにティーセットを囲んでくつろぎつつだ、??は仲間達に対して静かな声で話した。
「僕のことは」
「ええ、よかったら今のことでもね」
「お話していいですか」
「聞かせてもらうわ」
庚は優しい声で答えた。
「是非ね」
「そうですか」
「ええ、いい思い出を聞かせてくれるかしら」
「わかりました」
??は頷いた、それで先日の出来事を話した。
休日朝起きるとだ、彼は祖父にこんなことを言われた。
「霜月、今日は何か予定があるか」
「いえ」
祖父と向かい合って朝食を食べている、そのうえで答えた。
「別に」
「そうか、なら百貨店にでも行くか」
「百貨店ですか」
「二人でな」
こう言うのだった。
「そうするか」
「僕とお祖父様で」
「家族だ、一緒に行っても問題はない」
「そうしたものですか」
「家族はな、では新宿の方に行ってだ」
そちらの百貨店にというのだ。
「開店時間の時にな」
「そうしてですね」
「楽しもう」
こう言って実際にだった。
??は祖父に連れられて百貨店に行った、そしてそこで色々な店を見て回っていった。祖父はその中で彼に優しい声で話した。
「好きなものを食べて買ってもだ」
「いいですか」
「家族だ、たまには甘えることもだ」
「いいんですね」
「だからな、何でも言うんだ」
「それなら」
??は祖父の言葉に頷いてだった。
友人に面白いと勧められたプレイステーションのソフトを買ってだった、祖父にさらに言ったのだった。
「お祖父様も」
「わしもか」
「はい、何か買いませんか」
「そうだな、腕時計が欲しいと思っていた」
祖父は孫の言葉に破顔して応えた。
「ではな」
「腕時計をですか」
「買いに行こう、どの時計がいいか選んでくれるか」
「僕がそうしていいですか」
「ああ、宜しく頼む」
祖父はまた応えてだった。
実際に時計屋に行って??が選んだ時計を買った、その後で昼食になったが。
向かい合ってざるそばを食べつつだ、祖父は??に言った。
「蕎麦でいいのか」
「何かこのお店が美味しいと思いまして」
「それでか」
「お祖父様でと思いました」
蕎麦をすすりつつ言うのだった。
「それで、ですか」
「そうか、そういえばこの店も美味いとな」
「評判ですか」
「東京でもな」
「そうなんですね」
「はじめて来たか」
それでもというのだ。
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