第二章
[8]前話
「お父さんね」
「今会社でしょお父さん」
「今電車の中ね」
仕事を終えてというのだ。
「だからね」
「絶対にないわね」
「そうなると」
腕を組んで考える顔になって言った。
「犯人は一人ね」
「一匹でしょ」
「そうよ、あんたよ」
丁度リビングのソファーの上で丸くなっている白地で所々黒い模様がある大きな耳が立った雄猫を指差して言った。
「ポコ、あんたね」
「ニャッ?」
「シラを切っても駄目よ、あんたしかいないわよ」
子供達のアリバイが証明されたならというのだ。
「違うかしら」
「ウニャア」
「全く、油断も隙もないんだから」
「怒らないの?」
「犬や猫はその時に怒らないと駄目でしょ」
こう娘に返した。
「だからね」
「今は怒らないの」
「そうよ、今度から夕食までは」
「ポコの目の届かないところに置くのね」
「そうするわ、全く以てね」
娘にやれやれといった顔で話した。
「油断も隙もないわね」
「猫ってそうよね」
「キャットフードあげてるのに」
ご飯はというのだ。
「つまみ喰いするなんて」
「これからは気を付けないとね」
「ええ、そうするわ」
「ウニャア」
ポコは眉を顰めさせて言う佳乃にもやれやれとなっている茉由にも目を向けず丸くなって寝ていた、真犯人はわかったが処罰はなかった。父が帰ると一家で食べた。佳乃はその時彼がメザシをつまみ喰いした話をしたが誰も怒らなかった。やれやれとなるだけだった。
真犯人はお前だ 完
2023・10・24
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